世界でいちばん透きとおった物語 | 新潮文庫 |
藤阪燈真は子どもの頃脳の病気を患い、手術をして完治はしたが、紙の本を読んでいると目がちかちかしてつらくなるいう後遺症が残る。燈真は校正者である母がベストセラー推理作家の宮内彰吾との不倫の結果生まれた子であり、認知もされないまま母子二人で暮らしていたが、燈真が18歳の時、母は交通事故で亡くなり、燈真は高校を出てからは進学も就職もせずに、書店でのアルバイトで生活してぃた。ある日、宮内彰吾が病気で亡くなり、燈真にとっては義理の兄である松方朋晃から連絡が入る。話題のあるうちに出版したいので、宮内が亡くなる直前に書いていた原稿を渡してほしいと。身に覚えのない燈真は義兄の朋晃の依頼を受け、宮内の担当編集者や交際していた女性を訪ねて原稿の行方を捜して回る・・・。 物語は主人公が亡くなった父の原稿を探して回るというストーリーですが、その過程の物語自体に面白さはありません。ネタバレになるので、詳細は語れませんが、宮内が残した作品にある仕掛けが隠されており(仕掛けといえるかどうかわかりませんが。)、そして、この本自体にも仕掛けがあるということがこの作品の売りといっていいでしょう。帯に「電子書籍化絶対不可能!?」と謳われた意味、そして「世界でいちばん透きとおった物語」と題されたのはそういうことだったのかとラスト明らかにされます。う~ん、この仕掛けを施した作者の苦労には頭が下がりますが、 ミステリベスト10に入る評価になるのはどうかなあと個人的には思います。 |
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