鉄道の駅から離れ、唯一の観光施設のスキー場が撤退してからは、寂れる一方の過疎の町駒木野町。このままでは、2030年には人口が0になってしまうと、町の青年クラブとは名ばかりの未婚の中年男性たちが集まって町おこしの案を考えますが、有効な打開策は見つかりません。
ある日、この町に住み着いた男のいたずらが、やがて町を巻き込んでのUFO騒ぎとなります。これをきっかけにUFOで町おこしをしようと青年クラブのメンバーたちが奔走します。
作者の篠田節子さんは、たしか市役所の職員だったためか、この作品に登場する町役場職員の対応も見てきたかのようですね。住民が自分たちで考えてやることに対し、行政が難癖つけるのはよくある話です。行政としては、効果が出ようとでまいと今までどおりのことをしているのが大過なくていいという考えなんでしょう。補助金を引っ張ってきて、たいして使えもしない箱モノを作って、あとは閑古鳥が鳴いているというのは、この駒木野町にかかわらず、日本全国どこでもやっていますね。
そして、篠田さんの批判の目は、行政だけに止まらず、新しいものを行おうとするときに必ず出てくる保守的な考えの人、また、面白おかしく報道するマスコミと、さまざまに向けられます。
最後はハッピーエンドで物語は終わりますが、本当はここからが始まりなんですよね。果たして、駒木野町の町おこしは成功するのでしょうか。
この物語、モデルがあるようです。篠田さんが巻末で感謝の辞を述べていた「福島県飯野町」です。ホームページを見ると「UFOの里へようこそ」とあります。投稿・UFO情報という掲示板もあるようですし、本当にUFOで町おこしをやっているとは、驚きました。 |