今年(2004年)の「このミス」で第8位になった作品です。
主人公巻島史彦は、かつて県警のエリート警官だったが、誘拐事件で犯人逮捕に失敗し、被害者を殺された過去があります。それから6年後、再び連続誘拐殺人事件が起き、捜査が行き詰まったとき、所轄に飛ばされていた巻島に、事件の指揮を執るよう命令が下ります。
今年、奈良で女児誘拐殺人事件が起き、犯人はまだ逮捕されていません。そればかりではなく、警察をあざ笑うかのように、女児の携帯から親に「次は妹だ」というメールが送られてきました。子供の親として許せない犯罪です。
物語は、こうした劇場型犯罪に対し、警察がテレビに捜査官を出演させ公開捜査、いわゆる劇場型捜査を行うことを描いています。今の日本ではありえない捜査方法でしょうが、テレビに出ることによる世間の反響等非常におもしろく読むことができました。ただ、そこまでの過程に比べ、最後の犯人逮捕はあまりにあっけないし、犯人像というのも読者にははっきり知らされません。結局、この物語は劇場型捜査の過程を楽しむものなのでしょう。
それにしても、本の帯の「犯人よ、今夜は震えて眠れ」は強烈に目を引きますね。 |