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白井智之の本棚

  1. 名探偵のいけにえ
  2. エレファントヘッド

名探偵のいけにえ  ☆  新潮社 
(ちょっとネタバレあり)
 「このミステリーがすごい! 2023年版」国内編第2位を獲得した作品です。作品は1978年に実際にガイアナで起こった人民寺院の集団自殺事件がモデルになっているのはすぐわかります。
 探偵事務所を営む大塒宗の大学生の助手である有森りり子がアメリカで開かれる学会に参加すると出かけたまま行方不明となる。大塒が調べると、彼女は学会ではなくアメリカの大富豪であるチャールズ・クラークに依頼されて、ガイアナに本拠地がある新興宗教「人民教会」の調査に行ったことがわかる。大塒は友人のルポライターの乃木野蒜とともに、入信信者に扮して教団本拠地のジョージタウンに向かうが、正体がばれて、野蒜は射殺されてしまう。そこに現れたりり子よって大塒は命を助けられ、チャールズ・クラークが派遣したりり子以外の3人の調査員に紹介される。しかし、翌朝調査員の一人、元FBI捜査官のアルフレッド・デントが密室の中で死体となって発見される。犯人を大塒たちに見つけてもらわないと、密室の中で殺人が起きるという「奇蹟」を起こせるのは教祖のジム・ジョーデンしかいないということになってしまうと幹部から言われたジョーデンは、大塒たちに3時間で犯人を捜せと命令する・・・。
 密室殺人のあとは毒殺事件、そして次は身体を二つに切断した猟奇殺人が起きます。教祖の力で病気にもならず、ケガもせず、失われた四肢さえ蘇ると信じられている特殊環境の中で、大塒はそんな奇跡を信じている信者たちにも納得する謎解きを提示します。この謎解きが本格ミステリの定番の謎解きのようで、なるほどなあと読みながら納得したのですが、これが大どんでん返し。大塒は普通の社会で通用する解決を再提示します。これにはやられましたねえ。その上、誰もが言うように、タイトルが表す意味を知った時の驚きは大きいです。昨年中に読んでいたら、マイベスト10の第1位を争っていたかもしれません。 
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エレファントヘッド  ☆  角川書店 
 白井智之さんの作品を読むのは「名探偵のいけにえ」に続き2冊目ですが、白井ファンからすると、今回のエログロ満載の本書は白井さんらしい作品だそうです。とにかく、臓器が飛び散ったり、口からゲロはもちろん臓器も出てきたりというグロさ、そしてエロ部分の描写は読む人を選ぶかもしれません。
 象山晴太は神々精医科大学付属病院に勤務する精神科医。女優の妻・季々、大学生であり人気沸騰中の覆面音楽ユニット“アカダマ”のボーカル、eriminである長女の舞冬、高校生の二女の彩夏と幸せな家庭生活を送っていた。ところが彼には別荘の地下室には妻のストーカーを開じ込め、自身の性欲処理に使っていたり、若い男をホテルに連れ込んだりと裏の顔があった。ところが、舞冬の交際相手が家に来た時、彼が自分がホテルに連れ込んだ若い男だったことから、幸せな家庭生活が崩れていく・・・。
 「ストーリーもトリックもロジックもすべてネタバレ厳禁です」「絶対に事前情報なしで読んでください」と帯にもあるので、詳細は語れませんが、ある薬を飲んだことから彼は思いもよらない状況に陥ります。とにかく、殺人の方法が凄いです。特殊設定下であることを前提の方法ですが、とはいえ、こんな方法を考えつくとは「えぇ~!」とびっくりです。
 ジャンルとしては、特殊設定ミステリと言っていいのでしょう。SF的な設定で、最初は頭がこんがらがってしまうのではと不安だったのですが、別枠でわかりやすく図示されていたりして、説明がなされており、割とサクサク読むことができました。これは年末のベスト10で上位に入ってくるかもしれません。ただ、しつこいようですがエログロシーン満載ですので、万人受けするとは到底思えません。 
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