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志水辰夫の本棚

  1. 行きずりの街

行きずりの街 新潮文庫
 新潮ミステリー倶楽部の1冊として、ハードカバーで刊行されたときに読んで以来10数年ぶりの再読です。すっかり、内容は忘れていましたが、再読でもまた楽しませてくれました。
 行方不明となった教え子を捜して東京へ出てきた波多野。かつて高校教師をしていた彼は、教え子であった妻との結婚をスキャンダルにされ、妻と離婚して郷里へと帰って塾の講師をしていた。東京へ出てきた波多野は、教え子の失踪にかつて自分が勤めていた学校の関係者が関与していたことを知る。
 教え子探しが、自分の過去の清算につながるなんて、これではあまりにできすぎる展開だろうと思ったのですが、志水さん、うまいですねえ。そんなことを忘れさせるほどのおもしろいストーリー展開です。さすがこのミスで第1位になっただけのことはあります。ただ、タダの塾の講師が、ハードボイルド小説の私立探偵のようにあそこまで縦横無尽の活躍ができるのかとは気になりましたけど。
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