主人公は高校時代バレーボール部のキャプテンとして試合後のミーティングで、ミスをして敗戦のきっかけを作った同級生を叱責したところ、その同級生が自殺してしまうという過去を持っています。もともとは真面目で一生懸命生きていた主人公が、そのことをきっかけに打ち込んでいたバレーボールもやめ、今は高校の国語講師として何となく生き、そして不倫もしています。
そんな主人公が、高校の文芸部の顧問となり、たった一人の部員である垣内くんと部活動をいていくなかで、前向きに生きるようになっていく話です。
主人公の弟が言います。「きっぱりさっぱりするのは楽じゃん。そうしてれば正しいって思えるし、実際間違いを起こさない。だけどさ、正しいことが全てじゃないし、姉ちゃんが正しいって思うことが、いつも世の中の正しさと一致するわけでもないからね」 そんなふうに考えれば世の中肩肘張らずに生きていけるかもしれません。
最初は、「なんだ、この主人公は! なぜこんな男と不倫するんだ」と憤りながら読んでいましたが、最後はホッとしました。
それにしても垣内くんはかっこよすぎます。高校生なのに主人公よりずっと大人で、スポーツができるのに文芸部なんて、「こんな高校生いるわけない」となかばやっかみながら思うのですが。 |