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榊林銘の本棚

  1. あと十五秒で死ぬ

あと十五秒で死ぬ  東京創元社 
 “あと15秒”をテーマに書かれた4編が収録された短編集です。
 猟銃で撃たれ、まもなく死亡する薬剤師の女性が、うっかり早く迎えに来た死神から与えられた15秒で、犯人にわなを仕掛けようとする「あと15秒で死ぬ」は、作者のデビュー作で今年春のフジテレビ「世にも奇妙な物語」の1話としてドラマ化もされています。
 「このあと衝撃の結末が」は、ラスト前の15秒を見逃したために、ラストが予想とは異なった展開になってしまった理由を考えます。解決がされたあとのもう一ひねりが見事。
 「不眠症」は夢と現実との間を行き来する母と娘の思いを描いていきます。最後にこれでどうにか光が見えると思ったところのどんでん返しにやられました。まさか、娘のある気がかりなところがここで出てくるとは・・・。
 「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」は、首が取れても15秒以内に元に戻せば死なないし、1歳以内の年齢差なら自分の首を他人の身体につないでも生きていけるという特異体質を持つ住人が住む島での殺人事件が語られます。祭りの夜に首のない高校生らしい焼死体が発見される、一方、高校生の克人は何者かに襲われ、首が取れてしまう・・・。果たして誰がなぜ殺されたのかという話です。3人の高校生が3つの首を2つの身体に15秒以内に付け替えながら、推理を重ねていく様子に本人たちには申し訳ありませんが笑えます。 
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