題名にある「冬に出る」のは幽霊のこと。高校の文化部の部室が入っている芸術棟にフルートを吹く幽霊が出るという噂が立ち、その幽霊騒ぎの解明に乗り出した高校生たちの活躍を描く作品です。
幽霊の噂におびえて練習に来な<なってしまった吹奏楽部の部員たちに、幽霊などいないことを立証するため、部長は部員の秋野と芸術棟を見張ることとしたが、そのときに付き合わされた第三者が葉山くん。彼らが芸術棟で待ちかまえていると、予想に反し幽霊が現れ、びっくり仰天。さて、果たして幽霊の正体は・・・
作者の「似鳥」は「にたどり」と読むそうですが、第16回鮎川哲也賞佳作入選の似鳥さんのでデビュー作になります。いい年齢の大人があのカバー絵の本をレジに出すのは恥ずかしかったのですが、大好きな青春ミステリなので購入(年齢の高い人のためにも漫画のカバー絵は勘弁して欲しい。)。ちょっととコミカルなタッチで話は進みますが、内容は本格ミステリです。最初はちょっと読みにくいという印象もありますが。途中からはいっきに読み進めることができます。ラストで明かされる真実は、若い高校生にとってはあまりに苦い現実です。 |