第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作です。帯に書かれた選考委員3人(綾辻行人、北村薫、馳星周)の絶賛のコメント。これを読んだら読まないわけにはいきません。
内容としては大好きな青春ミステリのジャンルです。主人公は、私立藤野学院男子バスケットボール部の椎名康。康は、クラブ棟屋上でリストカットをしようとした女子バスケットボール部の花形選手であり、モデルでもあった網川緑のために救急箱を取りに行くが、その間に緑は屋上から落下してしまいます。康は倒れている緑を助けようとするが、何者かにより首を絞められ、気を失ってしまいます。気付いた時には、緑の姿は消えていました。放送部員である樋口真由が康を助手に、俄か探偵となって緑失踪の謎を追います。
ミステリとして様々な謎、網川はなぜリストカットを繰り返したのか、網川が屋上から落ちたのは事件なのか事故なのか、そして網川の姿が消えたのはなぜか等々事件の真相に至る過程はもちろんおもしろかったのですが、それ以上に真相が解明されるとともに作者が読者の前に提示した事実にはびっくりしてしまいました。その上、1回びっくりしたと思ったら、さらに新たな事実に驚かされるのですから。いやぁ~、参りました。
これはものの見事に作者の長沢さんに騙されましたね。読んでいて、ところどころ違和感を感じた理由はこんなところにあったのかぁとようやくわかりました。 |