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群ようこの本棚

  1. じじばばのるつぼ

じじばばのるつぼ  ☆  新潮社 
 作者が街の中で出会った強烈なキャラの持主である“じじ”“ばば”のことを語ったエッセイです。
 読みながら、こういう“じじばば”にはなりたくないと思いながらも、もしかしたら自分も周りの人からはこの本の“じじばば”のように見られているのではないかと、改めて自分自身を振り返ってしまう、そんな本でした。
 その中で特に気になったのは・・・
 「レジ前のばば」、いますよねえ、こういう“じじばば”。目に付くのは、特に“ばば”です。コンビニやスーパーのレジで会計が済んでいるのに店員に話しかけて、うしろに列が並んでいてもまったく気にしない“ばば”。よほど話し相手がいないのか、店員が迷惑そうな顔をしているのに気づかずに、ここぞとばかり世間話に興じている“ばば”はそこかしこで見かけます。
 「運転するじじばば」。これは、このところ大きな話題になっていますよねえ。ブレーキを踏まずにアクセルを踏み込んでしまうことによる大事故が最近頻発しています。若い頃のようには身体が頭についていけないんですよねえ。老齢だから無理ありませんが、そのことを自覚していない“じじばば”もいるのが問題です。
 「俺様じじ」。これまたいますよねえ。自分は偉いと勘違いしている“じじ”。いったい何様だと思うくらいどうでもいい文句を店員に言っている“じじ”は、家に帰ればきっと誰にも相手にされていないのでしょうね。文句を言えない相手に偉ぶることでストレス解消しているのでしょうけど、相手をする人にとっては、たまったものではありません。
 「お供じじ」。これも目につきますよねえ。妻の買い物についてきたけど所在なさげに立っている“じじ”。一方買い物に血眼になっている“ばば”。これは“じじ”“ばば”に限らず、その予備軍も同じですよね。
 「短冊じじ」にも困ったものです。もうここまでになると、自分がひたすら正しいと思っているから誰が何を言っても人の言うことを聞く耳は持たないでしょうね。嫌われるだけの“じじ”です。
 何だか感想を書きながら自分がここに挙げられている“じじ”になりそうで恐ろしい。姉妹編ともいうべき「おとこのるつぼ」と「おんなのるつぼ」も読みたくなりました。 
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