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両角長彦の本棚

  1. ラガド 煉獄の教室

ラガド 煉獄の教室 光文社
 光文社が主催する日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品です。帯に書かれた選考委員の賛辞に惹かれつい買ってしまいました。
 ある中学校で女生徒が侵入してきた男によって刺殺される。その男は、2か月前に自殺をした女生徒の父親で、娘はクラスのいじめに遭っていたと主張して、娘の自殺後、毎日娘の通学鞄を手にクラスにやってきていた。その彼に対し、学校側は徹底的な無視をしていたが、唯一その男に理解を見せていたのが殺された女生徒だった。事件後、警察は、事件の記憶を失った犯人に記憶を取り戻させるため、現場の状況を再現しようとする。
 見えていたものとは違っている事件の真相が徐々に明らかになっていく過程が描かれていきます。各ページの下に事件が起こった教室の見取り図があり、生徒たちの行動が図示されています。さて、これは何かのヒントになるのかと思いましたが、見取り図は起こったことの参考にはなるけれど、それほど重要とも思えません。参考にはなるけれど、なくてもかまわないという感じです(ただ、事件が明らかにされたときの矢印の向かう意味という点では、存在意義はあるかもしれません。)。そもそもこの作品、謎解きのミステリと呼ぶよリサスペンスといった方が適当です。
 また、題名になっている「ラガド」という存在を素直に受け入れることができるか否かが、この作品を荒唐無稽なものとして、あほらしと投げ捨ててしまうか、それとも楽しめるかどうかの分岐点になるかもしれません。僕自身としては「ラガド」を登場させる必要性があったのかと思います。そのほか、事件の端緒となった女生徒の自殺についても、読了後もそんなことで自殺するの?という思いが拭い切れませんでした。
 雰囲気的には、湊かなえさんのデビュー作を想起させるものがありますが、それ以上の破天荒な物語です。 
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