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盛田隆二の本棚

  1. ありふれた魔法

ありふれた魔法 光文社
 初めて読んだ盛田さんの作品です。中年の男性が若い部下の女性に惹かれて不倫関係に陥っていくというのは、昼メロドラマにお似合いのストーリーで珍しいものではありません。普通だったら読むこともない小説だったのですが、それでも、手に取ってしまったのは“ありふれた魔法”という題名に惹かれたからです。ドロドロとしたものをイメージさせる不倫という内容の話には、あまり合わないちょっと甘い題名です。
 主人公秋野は44歳の銀行の支店次長。年上の妻と三人の子供と暮らしている。ある日、部下の女性森村茜が顧客に謝罪するときに同行したのをきっかけに、一緒に食事をするようになる。その後、茜が同僚からのストーカー問題に苦しんでいたときに力になったことを気に急速に二人の仲は接近していく。
 正直のところ、秋野の気持ちはよくわかります。若い女性の部下に頼りにされて、一緒に酒食をともにするなんて、どうという仲でなくてもうきうきした気分になってしまうのは同年代として理解できますね(女性には怒られてしまいそうです(^^;)。
 とにかく、こうした話のラストはだいたいお決まりですが、嫌な読後感にならなかったのは、二人とも自らの責任から逃れなかったことによるのでしょうね。また、秋野が妻や子からすれば、どんでもない父親ですが、ともに働く同僚からみると頼りがいのある非常に魅力のある人間だったからでしょう。とはいえ、これは結局男性の都合のいいように書かれた話と女性に言われても仕方のないストーリーですね。
 なお、手に取るきっかけとなった「ありふれた魔法」という題名ですが、スピッツの「ロビンソン」という曲の中の一節からです。“同じセリフ 同じ時 思わず口にするような ありふれた魔法で つくりあげたよ”
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