本が紡いだ五つの奇跡 | 講談社 |
初めて読む森沢明夫さんの作品です。 出版社に入社して4年、今だにヒット作というヒット作がない女性編集者、デビュー作はヒットし映画化までされたものの、その後ミステリーブームに乗っかって書いたミステリは全く売れず、エディターズスクールの行使のアルバイトで食いつなぐ小説家、ガンで余命宣告を受けたが妻には言えない大御所デザイナー、アルバイトをする書店に来る男子大学生に片思いする女子大生、自分が営む美容室に来た女性が気になる男やもめの店主をそれぞれ各章の主人公にして、1冊の本が生まれる初めから、それが完成して書店に並び、それを読者が読むまでを描いていく作品です。 ただ、描かれるのは1冊の本が作られる過程ではなく、それに関わる人、そして最後にはできた本を読む人のそれぞれの悩みや、その本の完成に関わることにより、あるいはその本を読むことにより前を向くことができた姿、つまり、それぞれの生きる姿が描かれていきます。 題名からは1冊の本がそれを手に取る人に何らかの奇跡を生じさせる話かと思いましたが、ちょっと違いました。 |
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