| ノウイットオール ☆ | 文藝春秋 |
| 第30回松本清張賞受賞作品。切縞市を舞台に、探偵小説、青春小説、科学小説、幻想小説、恋愛小説と銘打ったそれぞれ異なったジャンルの5つの物語が語られます。 密室状況の中でやくぎが殺害された事件に、犯人探しを依頼され登場したのは少女探偵・青影千織。依頼人のやくぎに法外な報酬を吹っ掛けて動じない青影は事件の真相を推理する。M-1での優勝を目指す同級生の浅黄葉由からコンビを組もうと誘われた土橋千尋。好きな女の子・夏目桜花を紹介するという甘い言葉につられ、M-1目指して練習を始めるが、やがて受験勉強そっちのけで漫才に打ち込むことになる。18歳の誕生日を機に謎の技術を手にしたことで未来から来た男に狙われる少女・夏目桜花。彼女を助けに未来からやってきたという赤石搏兔と共に彼女をつけ狙う男と戦う。魔法使い族と吸骨鬼族が戦う世界。魔法使い族のラクア=ブレズノは吸骨鬼族との戦闘で同胞たちの身体を弄んだと罪に問われ、捕虜となった吸骨鬼族のカヴンと共に闇界に追放される。闇界であるこの世界に追放されたラクアは、この世界の道案内役として魂を蘇らせた咲とともに再びカヴンと戦うこととなる。人の顔を覚えられない、顔自体は認識できるがそれを記憶できない症状を持つ乙黒奈実。彼女は歌会で出会った冬木翼と恋仲になるが、やがて顔を覚えられないことが原因で翼に誤解されてしまう。 5つの話はそれぞれで完結しているのですが、それぞれの話に、別の話の登場人物が顔を出しており、実はあそこに出てきた人はこちらの話の誰々だということが次第に明らかになってきて、楽しくもあり、「そうだったんだぁ!」と思わず感動するところも。その中でもエピローグのラスト1行で明かされるリンクは一番の驚きです。 |
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| 探偵小石は恋しない ☆ | 小学館 |
| おじさんにはちょっと恥ずかしい表紙カバーの若い女性のイラスト。図書館で借りる時も貸出担当の図書館員の女性に「このおじさん、ロリコン?」かと思われないかなあと変な心配をしてしまいます。おじさんでも気軽に購入したり、図書館から借りることができるよう、カバーの絵は考えてもらいたいです。 福岡市で探偵事務所の所長を務める小石と助手の蓮杖。小石は題名にあるとおり、恋愛沙汰にはまったく興味がないが、他人の色恋沙汰に係る調査は死ぬほど得意。なぜなら小石には人が他人を想う矢印が見えるという能力があったから。そんな小石は名探偵のように事件を解決したいと思っているが、持ち込まれる依頼はほぼ不倫や浮気の調査。物語の1章から3章まで語られるのは、女子高校生から依頼された交際している男の調査、内縁関係にある女性の調査、アイドルと結婚したという男からの依頼のあった彼女の護衛。ところが、4章では小石も蓮杖の名前も出ない、高校を舞台に男子高校生が胸にハートのマークを刻まれる事件が描かれます。ここに至り、各章の最後に置かれた胸に傷をつける人物の行為がクローズアップされるのですが、5章になって、それまでの4章に置かれていた伏線がいっきに回収され、読者は作者に騙されていたことを思い知らされます。 なぜ、FaceIDを設定しなくなったのか、なぜ、女性を抱きかかえたまま追手から逃げ切れることができたのかなど読んでいて違和感を覚えるところが多々あったのですが、全容が明らかになればなるほどそういうことだったのかと納得。 ラストは予想もできなかった事実に驚かされた上に、更なるどんでん返しが待ち構えており、これは森さんに見事にやられました。面白かったです。 ところで、小石の人が他人を想う矢印が見えるという能力は住野よるさんの『か「」く「」し「」ご「」と』の中に同じ能力を持った人がいましたよね。 |
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