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水森サトリの本棚

  1. でかい月だな

でかい月だな 集英社
 第19回小説すばる新人賞を受賞した作品です。友人に崖から突き落とされ、瀕死の重傷を負い、好きだったバスケットができない体となってしまった幸彦。
 ケガで留年した彼が学校で出会ったのは、非常に個性的な二人の人物。一人は幸彦を旧理科準備室を部室とする錬金術同好会に誘った会長の中川京一。もう一人は魔力を秘めた目を隠すため眼帯をしていると噂される“邪眼”の少女・横山かごめ。京一の飄々とした雰囲気がいい感じです。それに対し、全く他を寄せ付けないピリピリとした雰囲気を漂わすかごめのキャラクターは強烈です(とにかく、この二人のキャラクターのユニークさがこの作品の魅力の大きな部分を占めているといっていいでしょうね。)。
 バスケもできず、なんとなく生活する幸彦に、しだいに二人の存在は大きなものとなってきます。このままユニークなキャラクターのこの二人と幸彦との青春物語が続くのかと思ったら、ストーリーは思わぬ方向に向かいます。幸彦が魚の群れの幻影を見始めたときから、幸彦の回りの皆が何だかやさしくなっていくのです。その理由がといったら、これはもうビックリですねぇ。青春小説読んでいたのに、なんだ、これはSFか!と思ってしまう展開になります。でも最後はやっぱり青春物語に。ちょっとこれは好き嫌いが出る作品です。
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