第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作。
ある短編映画の撮影現場。主演女優としてやってきたマリアに次々と嫌がらせと思われることが起こり、ついには、「殺人の証拠は残っている」とのメモが・・・
物語は、短編映画の撮影現場での出来事を描く現在のパートと、女子高校生4人が演劇に打ち込む姿を描く過去のパートが交互に描かれていきます。
過去のパートは、4人のそれぞれ個性の異なる女子高校生が、羅針盤という劇団を結成し、演劇に打ち込む姿を描いていきますが、やがて彼女らに悪意が降りかかっていき、悲惨な事件が起きます。現在のパートでマリアが過去のパートで起きる殺人事件の犯人であると明かされていますが、過去のパートでなかなか事件が起きないため、マリアは果たして誰なのかだけでなく、誰が殺されるのかという謎でも読者は最後まで引っ張られます。
青春小説のような過去のパートで張り巡らされた伏線が、現在のラストできっちりと回収され、犯人が明らかとなりますが、ものの見事に作者に騙されました。今年映画化されましたが、この作品の設定だと映画化は難しいと思うのですが、どう描かれたのか、観てみたい作品です。 |