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みうらじゅんの本棚

  1. 色即ぜねれいしょん

色即ぜねれいしょん 光文社
 京都の仏教系高校へ通う体育会系でない文科会系学生の乾くんが主人公です。
 高校生の男の子が避けては通れないことといったら、女の子との恋、セックスの問題です。油断していると否が応でも頭の中には女の子の裸の姿が・・・。この年代の正常な男の子であれば無理ないですね(と、経験者は語ります)。主人公の乾くんももちろんそうです。18歳未満入場禁止の映画館に入ったり、そうした映画のグラビアいっぱいの別冊ロードショーを買って、妄想を逞しくします。そんな乾くんが同級生から突然隠岐島への旅に誘われます。ユースホステルへ宿泊する女の子をフリーセックス信奉者と勘違いして、勇んで出かけた乾くんが、その旅で出会った人々とのふれあいの中で成長していく姿を描いています。高校生の頃って、思考がどうもセックスの方に向いてしまうのですよね。あの頃真面目な(?)僕も、テレビのコマーシャルで“サクセス”と言っているのを、何を聞き間違えたのか、はたまた勘違いしたのか、“セックス”と言っていると思い、最近のテレビはすごいなあと感心したことがあります(^^;
 時代背景は僕が高校生の頃と同じ時代でしょうか。フォークがニューミュージックへと変わる頃の話です。山口百恵、吉田拓郎、ボブ・ディランなど懐かしい名前が出てきます。それにしても、僕も同じ頃同じようなこと考えて生きていたなあと思わず感慨にふけってしまいました。同じ年代の男性にはたまらない作品だと思います。
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