死んだ友人が××に生まれ変わって現れるなんて、とんでもない話だと思って、書店で手に取ったときは買う気も起こらなかったのですが、新聞の書評が興味をそそる書き方をしていたので、つい購入してしまいました。
物語は小学生の主人公ミチオが発見した友人Sの首吊り死体が警察が到着したときには消えていたという事件を中心に、それに町内で頻発する犬猫殺害事件が絡んで進んでいきます。
ネタバレしないように感想を書くのは非常に難しい作品ですが、帯にも書かれているとおり、実は死んだ友人Sはあるものに生まれ変わって、ミチオのもとに現れ、自分は殺されたと言うのです。ミチオは、妹と友人とともに真相を探っていきます。物語の設定は突飛ですが、内容はミステリといっていいでしょう。Sを殺した犯人は誰なのか、その死体はなぜ隠されたのか、犬猫殺害事件は関連があるのかなど、文章的にも読みやすく、ミステリとして興味深く読むことができます。いろいろと伏線が張られており、読み終わったあとに考えると、「あ~、だからあそこにこう書いてあったのか」と思わずうなってしまいました(例えば、妹に最初S君のことを秘密にしようとした理由等)。丁寧に書いているということがよくわかります。
読む人は、たぶん1ページ目から、なんかおかしいなあという思いにとらわれながら読み進めることになります。小学生の冒険譚かと思いきや、学校内でのいじめや、家庭内虐待等が描かれ、終始暗い雰囲気です。そしてラストにはあ然、帯に書いてあるように超絶・不条理ミステリでした。 |