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三田誠広の本棚

  1. 僕って何
  2. やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる

僕って何 河出書房新社
 田舎から東京の大学に入学することになった僕。大学でいつの間にかセクトの争いや内ゲバに巻きこまれたり、年上の女性レイ子さんと同棲したりしている。「僕」って一体なんなのだろう。
 第77回芥川賞受賞作。僕が大学生のときの作品。主人公が大学生であり、田舎から東京に出てきたという僕と同じ境遇に惹かれて購入した本。表紙にヘルメットをかぶり、手ぬぐいを顔に巻いた主人公が描かれていたが、気が弱そうな目だった印象が残っている。物語は全共闘時代の頃であるが、僕が大学生の頃は安保闘争の時代もはるか昔に過ぎ、いわゆる一般学生は学生運動から離れていた。しかし、なぜか僕の大学では試験の時期になるとヘルメットをかぶり、手ぬぐいで顔を隠した学生たちがどこからか現れて暴れ回り、学校側がロックアウトをするということが繰り返された。そのため、試験はレポートになり、僕らは無責任にも喜んだものだった。「僕って何」と、自分の存在意義を考えることなど考えない大学生活であった。そのときでさえ、こんな学生もいたんだと思ったくらいだから、今の学生たちには到底理解できないだろうなあ。
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やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる 角川文庫
 この題名に惹かれて買い求めてしまったといっていい作品です。
 主人公手塚と、主人公の父親が住み込みの運転手を勤める会社社長の息子阿木。幼いときから同じ屋根の下で育った二人は、いわゆる親友として育ちます。物語は手塚と阿木が所属する大学のラグビー部を舞台に展開します。幼い頃から社長の息子として、いつもみんなの中心にいる阿木、そして、その阿木を支えながら生きてきた主人公というありきたりの青春ドラマみたいなものといわれれば、そうかもしれません。
 手塚は卒業とともに阿木と別れて自分の道を進むことを決意します。お互い一人きりで世間の荒波に立ち向かっていくこととなるのです。大学生活最後のラグビーの試合は、昔やっていた「われら青春」や「飛び出せ青春」という青春ドラマの最終回そのものでした(試合時間はあと少し。ここで点を入れなければ負けというパターンです)。しかし、わかっていても若い頃読んだときには、感動したものでした。僕らの時代の青春小説でした。 
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