初めて読んだ皆川さんの作品です。最近、海外ものは登場人物のカタカナの名前を覚えるのが苦手で、かなり読書量が減りました。案の定、この作品も最初は主たる登場人物である5人の弟子にニックネームがあったりして名前を覚えるのに苦労しましたが、慣れた中盤からはスラスラ読み進めることができました。
物語の舞台は、18世紀のロンドン。外科医のダニエル・バートンと解剖学教室の5人の弟子たちが、墓あばきから買い取った妊婦の死体の解剖をしようとしていたところに、警察が乗り込むところから物語の幕が開きます。そのドタバタの中で、彼らの解剖学教室の暖炉の中から四肢を切られた死体と顔を潰された男の死体が発見されます。
捜査をするのは盲目の治安判事、ジョン・フィールディングとその姪のアン=シャーリー・モア。フィールディングのキャラが興味深いです。盲目であることを補うために、聴覚が鋭くなり、人の話す口調から嘘を言っているのかどうかを感じ取ります。フィールディングの目となって若い女性でありながら捜査の現場に行くアンも気になるキャラです。
ストーリーは、死体の謎を巡ってジョン・フィールディングたちの捜査を描くパートと四肢のない死体の身元とされる、詩人として身を立てたいとロンドンに出てきた青年ネイサン・カレンのロンドンに出てからの生活を描くパートが交互に語られていきます。
暖炉の秘密の隠し場所に死体を置いたのは誰なのか、なぜネイサンは四肢を切断されたのか、証言が変わるエドとナイジェルは何を隠しているのかなど様々な謎を始め、本格ミステリらしい密室殺人の謎もあり、読んでいて飽きません。最後はものの見事に皆川さんに騙されました。
※題名は「お会いできて光栄です」をもじったもの。 |