今年3月に発売以来累計45万部が売れたそうです。出版不況といわれる中、失礼ながらあまり名前を知られていない作者の本としては凄いことです。
内容は、北鎌倉の古書店ビブリアに持ち込まれる古書にまつわる謎を、うら若き古書店店主の栞子が解き明かす連作集です。
極端に内気なのに、本のことになると立て板に水のように話し出すと止まらない栞子をホームズ役に、幼い頃祖母が大事にしていた本を見ていて祖母に平手打ちされたことが原因で物語を読むことが苦手になってしまった大輔をワトソン役にして、亡くなった大輔の祖母の蔵書に夏目漱石の署名が書かれた謎、せどり屋の自転車かごから落ちた文庫本を少女が持ち去った謎、本を売りに来た前科がある男とその本を取り戻しに来た男の妻の謎、栞子が大切している太宰治の晩年の初版本を売れとつきまとう男の謎がそれぞれの古書が持つ物語とともに明らかにされていきます。
栞子さんも特徴あるキャラですが、彼女以外にもホームレスで“せどり屋"の志田、美少女でありながら態度が大きい小菅奈緒など個性豊かなキャラが登場します。古書店を舞台にしたミステリとしては、最近では乾くるみさんの「蒼林堂書店へようこそ」がありましたが、こちらの方がミステリとしておもしろいです。。
新聞の書評によると、当初は表紙カバー絵の栞子の“萌えキャラ"で売れたそうですが、あのカバー絵ではおじさんには買いにくいですよね。 |