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緑川聖司の本棚

  1. 晴れた日は図書館へ行こう
  2. 晴れた日は図書館へ行こう ここから始まる物語

晴れた日には図書館へ行こう ポプラ文庫
 晴れた日は「外で遊ぼう」ではなく、「図書館に行こう」という、本好きにはちょっと気になる題名に惹かれて購入しました。
 物語は、小学校5年生の茅野しおりを主人公に、本好きの彼女が図書館で遭遇する謎を描く連作短編集です。読者の対象が大人というより児童ということらしく、非常に読みやすくなっています。ただ、彼女が小学生という割には、あまりに大人びた言い方、あるいは考え方をしており、小学生ぽくないなあとちょっと違和感を覚えるところもあります。
 各話の謎は、しおりが借りようとした本を「わたしの本」と言う少女、60年前に貸し出された本を返しに来た少年、水浸しにされた返却ポスト、次々と所在不明となった本の行方等々図書館の本を巡ってのちょっとした日常の謎となっています。本好きな小学生に読んでもらいたいと思う作品です。
 文庫化に際し書き下ろされた、最後に収録されている「雨の日は図書館に行こう」は、ミステリのある手法がとられた作品になっており、油断していたら作者にやられたという感じです。
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晴れた日は図書館へ行こう ここから始まる物語 ポプラ文庫
 小学校5年生の茅野しおりを主人公に、本好きの彼女が図書館で遭遇する謎を描く連作短編集第2弾です。
 今回彼女が遭遇する謎は、図書館内にこっそり置かれているドッグフードの謎、怪我をして自宅で療養している少女の「私の課題図書が読みたい」とのつぶやきの謎、老女が子どもの頃友人の兄に読んでもらった本の謎、風邪で寝込んでいるしおりが読みたいと言った絵本を母が家を出たとたんにすぐに持って帰ってきた謎、図書館のロビーに飾ってあったクリスマスツリーから綿の雪が消えて、代わりに本当の雪が解けかかったアイスクリームのようにツリーの下に積もっていた謎の5つ。これらの謎をいとこで図書館の司書の美弥子や友だちの安川くんたちと明らかにしていきます。今回はここに前作でも登場したしおりの父も加わり、娘と謎解き談議をします。
 文庫化に際して収録された短編「九冊は多すぎる」は、もちろんハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」からとったもの。「九マイル〜」同様、ある人が言った「九冊は多すぎる」からみんなが推理を披露しあいます。
 相変わらず、しおりの大人びた言動にはちょっと子どもがこんなふうに思うかなあという違和感を感じるところも。
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