「翼ある闇」「木製の王子」に登場している木更津悠也と作家の香月実朝を主人公とする4編からなる短編集です(「木製の王子」に木更津悠也が登場していたことは憶えていたのですが、「翼ある闇」に出ていたことは全然憶えていませんでした。あの作品は何といってもメルカトル鮎の印象が強すぎましたからね)。題名が「名探偵」と謳っているように、名探偵とは何なのかをテーマにしています。
名探偵の木更津に対して、記録者の香月実朝という関係からは当然ホームズとワトソンが思い起こされます。しかし、ワトソンがホームズの引き立て役だったのに対し、香月は単なる記録者に止まらず、名探偵木更津悠也が名探偵であるために、解決へのヒント等を与えています。それも木更津悠也が意識しないように気を付けながら。香月は名探偵木更津悠也が名探偵であるための演出家といえるのではないでしょうか。そして、香月は最後に木更津悠也が真相を解明する様子を見て、これでこそ名探偵だと満足しているのです。不思議な二人の関係です。
作品の中では「交換殺人」がひねりがきいていて一番楽しめました。
ところで、4編をとおしてあるものが登場するのですが、真相は一体何だったのでしょうか。
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