昨年第4回ボイルドエッグス新人賞受賞作品「鴨川ホルモー」が大絶賛された万城目(マキメと読むそうです。)学さんのデビュー第2作です。
「鴨川ホルモー」は読んでいなかったのですが、帯を見ると女子高に赴任する先生の話らしい、これは青春ものだなっと思って(青春ものには弱いのです。)手に取りました。ところがいい意味で裏切られましたね。確かに最初は、生徒と上手くいかなくて悩む主人公を描いていました。ところが神無月となって(ここがミソです。)、突然鹿が人間の言葉を話し始めたところから話はおかしな方向へ・・・。鹿が話すし、人間が鹿へと変身を始めてしまう(これを鹿化と言うそうです。)など、一歩間違えば“トンデモ本”になってしまいそうな破天荒な話へとなっていくのですが、不思議とぐいぐい引き込まれてページを繰る手が止まりませんでした。最初の“おれ”と堀田との出会いのときの“マイシカ”論争から、もうすっかり物語に嵌ってしまいました。とにかく、おもしろい。
主人公の“おれ”は、鹿から、日本を救うために“サンカク”と呼ばれる神の宝を鹿のもとに持ってくる使命を与えられます。その“サンカク”が姉妹校三校のスポーツ対抗戦で剣道部が優勝した際授与されるプレートだと知った“おれ”は剣道部の顧問として優勝を目指しますが、部員は三人だけ。そこに“おれ”を嫌っている堀田という女生徒が入部をしてきて・・・
少人数の部員で他校の強豪相手に優勝を目指すところは、青春ものの雰囲気もたっぷりあって、対抗戦の部分では思わず手に汗握ってしまう感じです。このあたり、わくわくドキドキで青春もの好きの僕としては堪能しました。
ラストは顔が赤くなるようなベタな終わり方ですが、これがまたいいんですよね。オススメです。 |