初めて読み切った舞城王太郎さんの作品です(買ったのは「みんな元気。」の方が先でしたが、読み始めてすぐ断念。今では積読本になっています。)。
舞城さんの文章といえば、改行が少なく、一つの文章がやたら長い。そのため、ページに空白があまりありません。今までは、どうもあの文章を見ただけで引いてしまって読まず嫌いになっていました。今回、文庫化に際し、サイトでも絶賛(「銀河通信オンライン」の安田ママさんをはじめ多数)されている舞城さんを今度こそ読もうと挑戦しました。ページ数も少なかったことが、その気にさせた一因でもありましたが。
とにかく、最初はあの独特な文体に圧倒されたのですが、意外にスラスラと読み進めることができました。しかしながら、物語にはぶっ飛びましたね(こんな表現が適当です)。不倫相手を病院送りにするほどの暴力的な女、妊婦の腹を切り裂いて胎児を取り出す人物、未解決事件を端から解決する主人公の同級生(これがルンババ12という変なニックネームの名探偵)等々と、個性的なというより人格壊れているんじゃないかと思われる人物たちが登場します(ネタばれになるので、詳しくは言えませんが)。
作品中では密室殺人事件、それもかなり奇妙な密室殺人事件が起こり、それをルンババが鮮やかに解決していきますが、明らかになる事実には唖然としてしまいます。本格ミステリとして真剣に考えない方がいいですね。
この作品は、みなさん言っているように、ミステリというよりは、主人公とルンババの成長物語といった方が正解ですね。予想に反してとてもおもしろく読むことができました。 |