2012年から新設された第19回日本ホラー小説大賞の読者賞受賞作品です。
幽霊が見える能力を持つ八神森司は、高校時代、校舎の窓から水やりをする女生徒を見ていたとき、彼女に人ならぬものが忍び寄るのを目撃し、慌てて校舎を飛び出る。彼が彼女の元に走り寄ったときには既に人ならぬものの影は消えていたが、森司はすっかり下級生の彼女・灘こよみに一目惚れしてしまう。浪人して入学した大学で同級生となった彼女と偶然再会した森司は、彼女を守るため、彼女が入会したオカルト研究会に入会する。
森司とこよみちゃん以外では、オカルト研究会の部員は、部長の黒沼、分家として本家の黒沼部長を守るという時代錯誤男の黒沼泉水、アネゴ肌で長身美人の三田村藍という魅力的なキャラの3人です。かなり、このキャラで読ませる部分が.あります。
引っ越しても引っ越し先の部屋の壁に女の顔が浮かび上がる「壁にいる顔」、いつも同じ人が出てきて何か告げようとする夢を見る「ホワイトノイズ」、入居者がすぐ引っ越してしまうマンションの部屋に起こる怪異を描く「南向き3LDK幽霊付き」、ドッペルゲンガーを何度も見るという「雑踏の背中」、引き籠もりの少女のために降霊術を行う「秋の夜長とウイジャ盤」の5つの不思議な出来事をオカルオ研究会の面々が解決していきます。
角川ホラー文庫ですが、表紙カバーからもわかるとおり、ライトな小説で、ホラーというよりミステリぽくて、更には青春ものの趣もある作品です。 |