よく行く本屋さんで、店員さんのおすすめの本としてポップを立て、販売に力を入れていた作品です。作者の黒野伸一さんの名前はその時まったく知らず、ポップが立てられていなくては、たぶん手に取ることもなかった作品です。
幼い頃から斜視であることにコンプレックスを持っている京子と、彼女が就職を機に引っ越した近所に住む変わり者のおばあさん、万寿子との交流を描いた作品です。
万寿子は、京子が通りかかると、「寄り目!」と言ったり、小学生の悪戯っ子のように背中に悪口を書いた紙を張り付けたりと、典型的な"いじわるばあさん"。男性との付き合いが苦手な京子が、なぜかそんないじわるばあさんとは友達関係になっていきます。単なる年寄りと孫娘という関係でなく、年齢を超えた対等の付き合いです。二人でデパートにワンピースを買いに行く場面での二人の様子は最高に素敵です。しかし、その歳の差はしだいに老いという残酷な事実に二人を直面させるのですが・・・。
京子が心魅かれる男性二人のどちらを選ぶのだろうという、京子の恋物語もまた楽しませてくれます。 |