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久保りこの本棚

  1. 爆弾犯と殺人犯の物語

爆弾犯と殺人犯の物語  双葉社 
(ちょっとネタバレあり)
 5編が収録された連作短編集です。
 冒頭の表題作「爆弾犯と殺人犯の物語」は、爆弾犯と彼の作った爆弾によって左目を失った女性の物語です。第43回小説推理新人賞受賞作です。町田小夜子は学生時代に公園に仕掛けられた爆弾の爆発によって左目を失い、義眼を入れていた。小夜子に出会った星子空也はその義眼に惹かれ彼女を愛したが、左目を失った原因がかつて自分が作った爆弾であったことを知る。二人は結婚するが、そんな二人のもとに門田ひなという小学生の女の子が訪ねてくる。彼女の父親は行方不明になっており、その父親と小夜子は不倫の関係にあったという・・・。このストーリー展開では「爆弾犯」はもちろん空也ですが、では「殺人犯」は小夜子なのかははっきりと描かれません。え!これで終わってしまうのと思って唖然としたのですが、この続きは次の次の「耳をふさいで口をつぐむ」で描かれます。
 「砂漠にサボテンは咲かない」は、交通事故に遭い意識不明だったが12年後に目覚めた青柳雫と彼女の目覚めるのを待っていた恋人の春陽の物語です。実は彼女の事故は・・・という謎解きになっています。ラストに「爆弾犯と殺人犯の物語」とのある関連が描かれます。
 「耳をふさいで口をつぐむ」は、再び空也と小夜子の物語です。ここでようやく冒頭の「爆弾犯と殺人犯の物語」の全体像が明らかとなります。
 「僕には印がついている」は、漢字が大好きな小学校2年生の光くんが主人公。彼の漢字好きが誘拐事件を解決することになる話ですが、この光くん、実は・・・という最後にびっくりの事実が明らかにされます。途中にある人物も登場します。
 「奇跡の二人」は、息子を独占しようとする母親を持つ男の子と交際する女の子の話。この話の登場人物もラストで実はあの人のことだということが明らかにされます。そして、ここで最後まで残っていた“なぜ”が明らかにされます。 
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