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高城高の本棚

  1. 墓標なき墓場

墓標なき墓場 創元推理文庫
 昨年出版された「X橋付近」が、このミスの第10位に選ばれるなど、今では忘れられた存在だった著者が一躍脚光を浴びました。僕自身はまったく知りませんでしたが、今回の作品の作風でも分かるように日本のハードボイルドの創世記を支えた人だったようで、知る人ぞ知る作家だったようです。正直のところ、今回の作品を読んだ限りでは、今の時代にこれほどまでに人気が出るとは意外な感じがしますが、それにしても今、世に出した編集者の目はすごいと言わざるを得ません。
 この作品は、海難事故に不審を抱いた北海道の支局の新聞記者が、その真相に迫っていくという物語ですが、やはり書かれた時代が時代ですので古めかしい感じがするのはやむを得ないところです。ハードボイルドと言っても私立探偵ものではありませんので、フィリップ・マーロウや沢崎のようにしゃれたセリフを吐くこともありません。今の時代からするとちょっと地味な雰囲気が漂います。
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