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小泉今日子の本棚

  1. 書評集

書評集  中央公論新社 
  この書評集は読売新聞の読書委員を務めた小泉今日子さんが10年間の間に執筆した97本の書評に現在のコメントを付してまとめたものです。
 芸能人が書いた本と聞けば、どうせゴーストライターが書いたのでしうと誰もが思います。でも、最後に載っている担当編集者との対談によれば、小泉さんが委員を引き受けるに当たって、読書面デスクにまず条件として言ったのが、「私の原稿をボツにできますか」ということ。更には担当編集者に対しても「何度でも書き直しますから」と言ったそうですから、小泉さん自身が真剣に書かれたものであることがわかります。
 僕らの年代からすれば、小泉今日子さんは“キョンキョン”という愛称のアイドルでした。読売新聞で書評を書いていたことは知らずに今回読み始めたのですが、自分自身がHPに書き散らかしている“読書感想文”とは異なる小泉さんの感性で書かれた“書評”に素直に「参りました」と言いたくなりました。
 更に単に本の内容の紹介に留まらず、これを読むことで小泉さんのその時々の心の中をうかがい知ることもできます。父や母や姉へのいや、この年齢となった自分自身のことが、書評の中でさりげなく語られていきます。その点で特に印象が強かったのは、小泉さんも反響が大きかったとコメントしている伊吹有喜さんの「四十九日のレシピ」の書評です。その冒頭に置かれた「四十歳を過ぎた私の人生の中で、やり残したことがあるとしたら自分の子供を持つことだ」という小泉さんの言葉にキョンキョンのアイドル時代を知る僕らはドキドキしてしまいます。
 ちなみに97本の中で僕が読んでいる本は22冊。小泉さんと同じ本を手にとって読んだんだなあと思うとちょっと嬉しくなります。
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