主人公は幼い頃連続放火事件で母親を亡くした過去を持ちます。彼は同じ放火事件でやはり母親を亡くした女性と再会し、愛し合い結婚をすることになります。彼女の家に結婚のあいさつに行った彼は、彼女の父親が6年前の交通事故で前向性健忘症になっていることを知ります。父親にとって、歳月は6年前の事故の日の繰り返しでした。大学教授であった父親の家には今でも研究者仲間が訪れていますが、ある日殺人事件が起こります。
小川洋子さんの「博士の愛した数式」と同じく前向性健忘症を扱った作品です。ただし、こちらの作品では、前向性健忘症にかかっている大学教授はちょっとした刺激ですぐに記憶がリセットされてしまうのです。ミステリですので前向性健忘症が大きなキーとなっています。一筋縄ではいきません。
それにしても、最後にある人物がある人に当てた(ネタばれになるので詳しいことは言えませんが)手紙で終わりますが、とっても泣かせます。 |