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川崎草志の本棚

  1. 長い腕

長い腕 角川文庫
 第21回横溝正史ミステリ大賞受賞作です。
 ゲーム製作会社に勤める島汐路は、職場で同僚の女性二人がビルから転落する事件を目撃し、幼い頃、父母が無理心中で崖から落ちて死亡したというトラウマを抱えていたこともあり、大きなショックを受ける。死亡した同僚が汐路の故郷で起きた中学生猟銃射殺事件の加害者と同じキャラクター人形を愛していたことから、彼女は故郷で起きた事件を調べ始める。
 主人公の汐路が、同僚の無理心中事件と故郷での事件の関わりに気づくのがかなり強引かなという気がしますし、どうしてそこまでおせっかいに事件に顔を突っ込んでいくのかという必然性がいまひとつはっきりしないという気もします。
 しかし、閉鎖的な田舎という前近代的なものと、対照的なゲームの世界という現代的なものとが組み合わさっている作品の世界は興味深いです。作者の川崎さんがセガに勤めていたことが関係しているのでしょう。
 作品のテーマぱ歪み”ということですが、人の心を歪めるものの正体を知ったときには、ちょっと恐ろしくなります。
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