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石川智健の本棚

  1. ゾンビ3.0

ゾンビ3.0  講談社 
 獣医の資格を持つ香月百合は予防感染研究所の研究員。休日出勤をした朝、彼女はWHOのサイトで紛争地域で人が突然気絶し、一分前後経つと凶暴になって人を襲い始める事例が報告されていることを知る。その日、突然世界の各地で、また日本でも人が人を襲い、噛まれた人はゾンビとなって人を襲い始めるという騒動が起こる。所員たちは研究所に立てこもるが、そこに刑事の一条信と、その後、隣接した大学から逃げてきたゾンビオタクの城田竜二が助けを求めてやってくる。やがて、噛まれていないのに突然ゾンビになるものが現れて、研究所内はパニックとなる。香月らはゾンビ化した研究員の死体を使って、ゾンビ化の原因を探ろうとする・・・。
 題名の「ゾンビ3.0」とは、超自然現象や魔法でゾンビになるのが元祖でこれが「ゾンビ1.0」、ウイルス説や細菌説が「ゾンビ2.0」、そしてこれらとは異なるゾンビ化が「ゾンビ3.0」という城田の話から、また、アメリカでYouTube配信をするバートンの「噛まれてゾンビになるバージョン1」「怪我してゾンビになるバージョン2」、そして「原因不明でゾンビになるバージョン3」からの「ゾンビ3.0」からのようです。
 全力疾走するゾンビが登場した映画は、この物語の中でも城田が言うように「28日後」とされますが、この物語には、走るゾンビと動きが遅い歩くゾンビの2種類が登場します。また、噛まれてゾンビになる人もいるし、ただゾンビの食料になるだけの人もいます。挙句の果ては噛まれないのにゾンビになる人もいて、これまでのゾンビの“常識”とはちょっと異なります。
 作者の石川智健さんは、医療系企業に勤めながら執筆活動をしているということで、後半、ゾンビ化の原因を探る部分でもかなり専門的なことが語られており、文系の私には理解するのが難しいです。原因が判明しても「へぇ~そういうものなの」と思うしかないですね。
 大学生の城田を登場させたことは、ゾンビオタクとして読者へのゾンビの説明に大いに役立ってくれましたが、一条の登場については、あの人物との間に何か因縁がありそうだなとは感じ取れましたが、伏線が張ってありましたね。 
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