灰色の評決 | 二見書房 |
マンションに住む姉妹が惨殺されるという事件が起きる。以前から妹に対し高利で金を貸し、返せない妹に肉体関係を要求し、部屋から出てきたところを目撃された男・五十嵐が逮捕されるが、彼は犯行を否認する。裁判員裁判となったこの事件の裁判に裁判員として参加した二宮智樹は五十嵐が犯人だと考えるが、同じ裁判員の八木麻衣子は被告人がやっていない可能性が少しでもあれば有罪にはできないと主張する。しかし、裁判が進み評決の段階になると、なぜか麻衣子は五十嵐の有罪に手を挙げ、評決の結果、1審では死刑の有罪判決が下る。その後、ひょんなことから出会った智樹と麻衣子は交際を始めるが、控訴審を傍聴していた麻衣子が行方不明となる・・・。 2009年に裁判員制度が始まって12年が過ぎましたが、我が家族は誰も裁判員はおろか、裁判員候補者にもなったことがありません。それだけ、地元での死刑や無期懲役判決が下されるような重大な事件が少ないせいで、それはそれでありがたいことですが、なかなか裁判員制度が身近に感じられません。ただ、この物語の八木麻衣子のように裁判員として自分の関わった裁判の判決が死刑だとしたら、きっと簡単に忘れることはできないでしょうね。 麻衣子の行方を探す中で、事件の真相が明らかになってくるのですが、あまりに想像外の犯人で、「え!この人がこんなことまでするのか!」「異常者過ぎる!」と思わざるを得ません。こんな犯人では裁判員裁判の裁判員になるのも恐ろしいなあと思ってしまいます。 |
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