主人公は、音楽科に通う高校生・津島サトル。物語は、彼が歳を取ってから高校時代を振り返るという形で進んでいきます。
音楽家一家に生まれ、子どもの頃から音楽が生活の一部であったサトルが、東京芸大附属高校の受験に失敗し、音楽科としては二流あるいは三流の評価の高校に入るところから物語は始まります。そこで同じ音楽の道を志す友人と出会い、そして、青春にはつきものの恋をし、その恋に悩むというストレートな青春小説です。その点、音楽科の生徒であっても普通の高校生と何ら変わるところはありません。
ただ、音楽科の生徒であるため、オーケストラの発表会やそれに向けての合宿等が描かれ、頻繁に音楽関係の用語が登場します。音楽に疎い身としてはとんとわかりません。最初は読みに<いかなという気はしましたが、そこはさらっと読み進めても大丈夫です(もちろん、音楽がわかる人はもっと楽しむことができるでしょうが)。
このTでは、恋が始まるところまでが描かれます。しかし、冒頭の様子では、そうそう爽やかな青春物語で終わるとは思えません。さてUでは、どんな展開になるのか楽しみです。 |