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藤岡真の本棚

  1. ギブソン
  2. ゲッペルスの贈り物

ギブソン 東京創元社
 東京創元社ミステリ・フロンティアシリーズの1作です。
 取引先とのゴルフの日、迎えに行った上司が待ち合わせ場所に現れず、そのまま失踪してしまいます。主人公は、上司を慕って制作から営業へと異動してきた後輩とともに上司の行方を探しますが、彼らの前には、さまざまな謎が立ちふさがります。失踪した元人力車夫、近所に住むストーカーと彼が鳴らしたとされる爆竹、町内に現れる消防車らしき赤い車、上司の若き頃の恋人の娘らしき女性、捜索を邪魔する謎の男たち等々。
上司の失踪の謎については、理由はともかく、作者があれだけあのことを書けば、真実はあれだろうなと予想はついてしまいます(ネタばれになるので細かいことは言えませんが、あれだけ書かれれば、もう残っている結論は一つです。)。
 ただ、あんな思わぬ事実が積み重なっての事件だったとは、もちろん思いもしませんでしたが。
 いったい、登場する変な人たちや不可解な事実のどれが上司の失踪に関係あるのか、きっとどれかは作者が読者に仕掛けた罠だろうなと思いながら、おもしろく読み進むことができました。でも、いろいろなことが積み込まれすぎていて、頭の中がごちゃごちゃです。再度最初に戻って確認しなければ。
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ゲッペルスの贈り物 創元推理文庫
 終戦間際にドイツの潜水艦によって、日本に運ばれる途中で行方不明となった最終武器「ゲッペルスの贈り物」を巡る物語です。
 物語は、有名人を次々と殺害する殺し屋の話と幻の歌手“ドミノ”を探す製作会社のプロデューサー、藤岡真(作者と同じ名前です。)との話が交互に語られていきます。この二つの話がどのように「ゲッペルスの贈り物」に繋がっていくのか先の見えない序盤のストーリー展開に、一気に読み進んでしまいました。ただし、前半の先へ先へと読ませたおもしろさが、ラストで思わずえ〜と叫んでしまう結末になってしまいました。下手をすればバカミスと呼ばれかねない結末です。「ゲッペルスの贈り物」の内容があんなものだったとはね(あの宣伝相ゲッペルスのことですから、あり得ないとも言えないところはありますが・・・)。
 しかし、藤岡と殺し屋が出会ったときに明らかとされる謎については、それもありかぁ〜と納得。それから、もう一つ、作者が仕掛けたあるトリックについても見破れませんでした。
 前半あれだけおもしろかったし、読者を騙すトリックも見事だっただけにラストが残念な作品でした。
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