東京創元社ミステリ・フロンティアシリーズの1作です。
取引先とのゴルフの日、迎えに行った上司が待ち合わせ場所に現れず、そのまま失踪してしまいます。主人公は、上司を慕って制作から営業へと異動してきた後輩とともに上司の行方を探しますが、彼らの前には、さまざまな謎が立ちふさがります。失踪した元人力車夫、近所に住むストーカーと彼が鳴らしたとされる爆竹、町内に現れる消防車らしき赤い車、上司の若き頃の恋人の娘らしき女性、捜索を邪魔する謎の男たち等々。
上司の失踪の謎については、理由はともかく、作者があれだけあのことを書けば、真実はあれだろうなと予想はついてしまいます(ネタばれになるので細かいことは言えませんが、あれだけ書かれれば、もう残っている結論は一つです。)。
ただ、あんな思わぬ事実が積み重なっての事件だったとは、もちろん思いもしませんでしたが。
いったい、登場する変な人たちや不可解な事実のどれが上司の失踪に関係あるのか、きっとどれかは作者が読者に仕掛けた罠だろうなと思いながら、おもしろく読み進むことができました。でも、いろいろなことが積み込まれすぎていて、頭の中がごちゃごちゃです。再度最初に戻って確認しなければ。 |