学校から帰ってこない弟を迎えにいったエリコ。公園にいた弟を連れての帰り道、姉弟はパラレルワールドに迷いこんでしまいます。その世界は、両親がいない、死んだはずの同級生が生きている、ひいきの巨人の高橋由伸選手が太めになっているなど、二人がいた世界とは微妙にずれています。二人は、微妙にずれたその世界から何とかして戻ろうとします。
芥川賞作家藤野千夜さんによる、いわゆるヤングアダルト作品です。ネットで本の紹介を読んで、僕が好きなパラレルワールドものだと思って、書店に買いに行ったのですが、あの表紙ではちょっとおじさんには買えません。レジに持って行くには勇気がいりますね。しょうがないので、オンライン書店に注文して購入しました。
話は、姉のいまどきの高校生の語り口で進んでいきます。あの年頃の姉弟の関係って、あんな感じかなと思わせる軽妙な語り口です。二人の会話のおもしろさがこの作品の魅力といえます。ただ、最後は残念ながら僕としては消化不良です。ここが純文学作家さんの描く作品というところでしょうか。 |