東京創元社の「ミステリ・フロンティア」第二回配本です。第一回配本があの伊坂幸太郎氏の「アヒルと鴨のコインロッカー」だったので、今回も期待して購入しました。
中高一貫教育の女子校で生徒が屋上から落ちて死亡します。その後、彼女の幽霊が出るという噂とともに、彼女が国語の男性教師と関係があったという噂が構内に流れます。そうした中、国語教師も校舎から墜落死します。果たして彼らの死は自殺なのか、他殺なのか。
彼が死の直前に残したポール・オースターの「鍵のかかった部屋」、国語教師の自殺した妻が残したネット上のウェブ・サイト「ヘビイチゴ・サナトリウム」、国語教師が新人賞を受賞した小説、そして女生徒との仲をあからさまに書いた原稿等々、様々な事実が錯綜して事件を複雑にしていきます。三人称で書かれた物語の途中に一人称の男と女の話が挟み込まれています。男の方は男性教師だと分かりますが、女性の方は誰なのか。
女子校を舞台にしたミステリです。言ってしまうと簡単ですが、僕には女子校の中の実態というのがよく分かりません。共学校と違って、生徒同士の中はあんな関係になるものなのでしょうか。物語は解決を見たかと思うと、さらに次の疑問が提示され、最後に新たな事実が出てきます。非難を覚悟で言わせてもらうと、女性は怖いです。それにしても、最後に指摘される犯人の真の動機はいったい何だったのでしょうか。その辺のところが、僕には今一つ理解できなかったのですが。 |