全編、封書、ハガキ、ファックス、案内状等手紙形式で構成されている作品です。男女4人の高校生活から20年後までが、彼ら4人だけの手紙だけではなく、彼らを取り巻く人たちの手紙も交えながら描かれています。
今は携帯電話やメールが主流で、手紙を書くことなどほとんどなくなってしまいましたね。まれに書いたとしても、パソコンのワープロソフトを使用して書くばかりで、手書きの文章を書くことなど僕自身もそんなにありません。大学生の頃は友人に頼まれて、その友人の友人と文通をしていていたので、週に1度は手紙を書いていました。もちろん、当時はワープロなんてなかった時代ですから手書きでした。字はうまくなくても、相手に気持ちを伝えたくて、丁寧に書くことだけは心掛けていました。そんなことから今でも自分の気持ちを相手に伝えたいと思うときには手書きで書くことにしています。そういう機会はあまりないのですが・・・。
この作品の主人公たちは、ちょうど僕と同じ年代なのでしょうか。随所に「なごり雪」とか「時の過ぎゆくまま」という僕が高校時代に流行った曲が出てきたり、受験勉強の際真夜中に聞いていた文化放送のセイヤング(谷村新司とバンバンがパーソナリティを勤めていました)へのリクエストハガキが載っていたりして、僕自身も自分の高校から大学時代のことが思い起こされて、懐かしく読み進めることができました。僕も年をとったということなのでしょうか。(あ〜、そういえば僕は高校の卒業式は大学受験のために欠席しました。大切な思い出を1つ作ることができませんでした。)
ところで、「卒業式」ではなく「終業式」なのは何故なんでしょうか。
※ 最近角川文庫版が発行されました。 |