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早見和真の本棚

  1. ひゃくはち
  2. イノセント・デイズ
  3. 東京ドーン
  4. 95
  5. 小説王
  6. 神さまたちのいた街で
  7. 店長がバカすぎて
  8. 笑うマトリョーシカ
  9. 新!店長がバカすぎて
  10. アルプス席の母

ひゃくはち 集英社
 早見和真さんのデビュー作であり、現在公開中の同名映画の原作です。題名の「ひゃくはち」とは、「108」のことで、仏教でいう人間の煩悩の数であり、一方野球のボールの縫い目の数のこと(煩悩の数であることは除夜の鐘が108鳴るということで知っていましたが、ボールの縫い目は知りませんでした。)。
 現在、甲子園では夏の高校野球大会が開催中です。まさしく、今このタイミングで読むべき作品ですね。
 神奈川県の甲子園常連校を舞台に、中学野球の有名選手が入ってくる野球部ではレギュラーになれるかどうか崖っぷちのところにいる一般入試で入った少年、青野雅人。物語は彼を主人公に、甲子園を目指す高校球児たちの友情を描いていきます。
 高校野球というと、世間の人は(あるいはマスコミかもしれませんが)、それを神聖視し、球児は真面目な高校生だと持ち上げます。でも、ここで描かれる選手たちは、タバコも吸うし、合コンで女の子と遊ぶことに一所懸命な、マスコミが作り上げた球児の姿とは異なる普通の高校生たちです。でも、そんな彼たちも甲子園に対する思いは強いし、それを目指して努力もします。こちらの方がリアルな姿という気がします。でも、酒やタバコなどと聞いたら高野連の人はびっくりでしょうけど。
 夏の甲子園を目指す彼らの前に起こった事件のシーンは、感動の場面というべきでしょうが、残念ながら僕自身は醒めた目で見てしまいます。なぜなら、騒動の原因となった少年に同情も何もできなかったし、逆に批判的だったので。中学時代に同じことで悩んだ過去があるのに、自分たちの欲望に負けてか、また大変な事態を引き起こしてしまったのですからね。彼のことを思う主人公より、他の選手たちの気持ちの方がわかります。それまで、おもしろく読んでいたのですが、ここは感動できません。感動できないのは若くないせいなのかなあ。でも、青春小説ですから、楽しんで読みましたけど。
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イノセント・デイズ  ☆   新潮社 
 第68回日本推理作家協会賞受賞作です。
 事件前に整形をしたことから「整形シンデレラ」と呼ばれた死刑囚の田中幸乃。彼女は元恋人だった男の家に放火し、その妻と一歳の双子の姉妹を殺害した罪で死刑の執行を待っていた。
 裁判やマスコミ報道の中で明らかにされてきた彼女の人間像は「17歳で私生児として産まれ、その後、母が結婚した養父からは虐待を受け、中学生の時には強盗致傷事件を起こして児童自立支援施設に人所、出所後出会った恋人に別れを告げられるとストーカーとなり、放火によって元恋人の妻と幼子二人を殺害した希代の鬼女」という、死刑になって当然というもの。しかし、彼女を取り上げた産婦人科医、義理の姉、中学時代の同級生、元恋人の友人、刑務官ら彼女に関わってきた人たちの語りによって、しだいに彼女の本当の姿が浮かび上がってきます。
 判決の際に「生まれてきてすみません」と彼女がなぜ言わなくてはならないのか。どうして彼女が他人のためにあそこまで自分を犠牲にしなくてはならないのか。読んでいて歯がゆくて仕方がありませんでした。人から必要とされることを欲していた彼女のことを思うと切なくなります。ラストで真実が明らかとなりますが、どうにかならなかったのか、割り切れない思いが残ります。
 幼馴染みで弁護士になった男が、幸乃のために行動を起こしたので、読者として彼に期待したのですが、当初の熱意がしだいに薄っぺらいものに感じられていくのはがっかりです。「なんだ!この男は!」と思ってしまいました。彼女の無実を唯一信じる男が彼に失望するのも無理ありません。
 いっき読みでしたが、もやもやしたものが心に残ります。すっきりとした読了感とはいきません。 
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東京ドーン  講談社 
(ネタバレあり)
 6話からなる連作短編集です。
 パワハラ上司の下での過酷な労働環境に鬱状態となり仕事を辞めようと考える男、フリークーだけど家は田舎の土地持ちで遺産もありアルバイトで貯めた金もあるが、なかなか就職できない男、結婚したい恋人はいるが、よりよい結婚相手を探す女、高校野球で活躍しプロ指名されながら、ミエから指名を蹴り大学に行ったものの、自分より実力がないと思っていたチームメイトのプロでの活躍にイップスとなり、野球を挫折した男、仕事に喜びを見出すようになった女と逆に職場で閑職に追いやられた男の7年越しの同棲カップルという6人の27歳の男女を主人公にして話は進んでいきます。
 各話のラストを読むと、仕事や結婚等への悩みを持っている主人公たちが、希望の再出発をするという感じに取れるのですが、6話の主人公たち全員が顔を見せる最終話の「碑文谷フラワーチャイルド」までいくと、そうだとばかりは言えないようです。
 過酷な労働環境にいた「新橋ランナウェイ」の男は疲れ切ったままだし、「北新宿ジュンジョウハ」の男はまだフリーターのままのようだし、「碑文谷フラワーチャイルド」の主人公の男だって、恋人だった女への思いの丈を叫んでみたところで、「わたしの方はもう話すことはありません」と言った彼女の気持ちを振り向かせることはできないでしょう。
 本当に新しい道を前向きに生きることになったのは、「十条セカンドライフ」の元野球部の男、「碑文谷フラワーチャイルド」の男と別れた「二子玉ニューワールド」の女、それとなぜか「北新宿ジュンジョウハ」の男と結婚することになった「成城ウィキペディエンヌ」の女でしょうか。
 結局、早見さんはこの作品で何を描きたかったのか、いまだにちょっとわかりません。
 ストーリー的に6話の中でおもしろかったのは、「新橋ランナウェイ」です。結婚式でパワハラ上司の祝辞に列席者が感動する中で、馬の合わなかった新郎の父親が述べる挨拶に溜飲が下がります。
 6話の登場人物がリンクし、それぞれの話では名前のわからなかった主人公たちの名前がラストの「碑文谷フラワーチャイルド」で明らかになるという連作らしい工夫がなされているところはおもしろいですね。 
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95  角川書店 
 2015年の年末、37歳の広重秋久のもとにSNSを通じて母校の女子高校生から卒業制作のテーマとして「1995年」を調べており、秋久に話を聞きたいと言ってくる。待ち合わせた渋谷のカフェで会った彼女が持っていた雑誌には、1995年当時の秋久が写っていた。秋久は自分の人生を変えた1995年3月20日のことを話し始める・・・。
 1995年3月20日といえば、地下鉄サリン事件が起きた日です。テロ事件などこの平和な日本で起きるはずがないと思っていた日本人には衝撃的な事件でした。物語は、身近に人の突然の死という状況があった日にも関わらず、中年男と女子高校生の援交の現場を見て憤りを感じてしまった秋久が、それまでつき合いのなかったクラスメートから突然呼び出しを受け、彼らの仲間に入って渋谷の街で生きていく姿が描かれていきます。
 青春小説は大好きです。それは主人公たちに自分を重ね合わせて若い頃を振り返ることができるという面があるからです。ただ、この作品の場合、渋谷のセンター街にたむろしている少年たちに共感できないし、更には秋久たちが金持ちの子女が集まる高校の学生で、親は政治家や暴力団の組長などで生活の苦労も知らずに好き勝手にやりたい放題の様子に、最初からどうも合わないかなあと思いながら読み進んでいきました。
 品行方正で真面目だった秋久が、“Qちゃん”と呼ばれ、髪を染め、ブランド品で身を纏い、渋谷の街を閥歩するようになり、そこでたむろする若者たちと喧嘩もするようになるなんて、いくら地下鉄サリン事件で人の死を身近に感じたからといっても、また、「ダサい大人にはなりたくない!」と考えたとしても変わりすぎだろうと思ってしまうのは、弾けることができなかった自分と比べてしまうからでしょう。
 結局、秋久や彼らの仲間に羨ましさを感じる気持ちがどこかにありながらも、最後まで彼らに自分を重ね合わせることはできませんでした。1995年当時は僕が既に安定を求める大人の世代だったのも、その理由かもしれません。
 物語は2015年の約束の日に集まる秋久とその仲間の姿を描きますが、彼らに聞きたい。「ダサい大人になっていないか?」 
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小説王  ☆   小学館 
  父が女を作って出ていった怒りから小説を書き始めるようになった吉田豊隆。大学生の時に新人賞を受賞し、その作品は映画化されるなど華々しいデビューを飾ったものの、その後は鳴かず飛ばずで、豊隆は書くことを諦めようとしていた。そのとき、小学校の同級生だった小柳俊太郎から電話がかかってきて、自分が編集者になるのを待っていてくれと言う・・・。
 今、テレビでも女性編集者を主人公に出版業界の裏側を描く「重版出来!」というドラマが放映されており、毎週楽しく観ています。あちらがマンガ編集部に対し、こちらは文芸編集部との違いはありますが、出版不況の中でどうにか売ろうと編集者が書き手と一緒に頑張るのは同じです。
 物語は、小学校時代に一緒に学級新聞を作った大手出版社の編集者・俊太郎と新人賞受賞後まったく売れない作家・豊隆が力を合わせて、本当に書きたいもので勝負しようと奮闘する姿を描いていきます。
 出版業界も不況で、特に小説はなかなか重版がされないという状況にあるようです。読書に関する調査があっても、本を読まないという人が増えているという結果ばかり。紙媒体の本がなかなか売れなくなり、電子書籍に活路を見出そうとしている出版業界ですが、そもそも本を読まない人が電子書籍だからといって読むようになるとは思えません。やっぱり、売るにはおもしろくなくてはダメです。
 こういう状況下で、俊太郎が打った手がそんなにうまくいくかなという疑問は置いといて、読ませどころは、幼馴染みの俊太郎と豊隆が妥協することなく傑作の完成に向けて突き進んでいくところです。ようやく本当に書きたい本、売りたい本を手がける二人の姿に声援を送りたくなります。そして、二人の周囲で彼らを助ける家族や同僚、友人の姿に胸打たれます。特に銀座のホステスの晴子と元恋人の女優・大賀綾乃の二人の女性が本当に素敵です。ラストの落としどころも良かったです。オススメの1冊です。

※カバー絵や挿画は、土田世紀さんという漫画家の“元ボクサーが先輩の勧めでマンガ誌の編集部ヘアルバイトとして入り、編集者として成長していく物語”を描いた「編集王」というマンガのカットだそうです。
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神さまたちのいた街で  幻冬舎 
 馬上征人は小学5年生の男の子。父が交通事故をきっかけに、結婚を機にやめていた宗教に再びのめり込んでいってしまう。母もまた、信仰を優先する父親との生活に嫌気が差し、それから逃れるために友人から誘われた宗教を信仰するようになってしまう。互いに相手を認めない父母の間で征人と妹の美貴子はどうにか以前の家族に戻って欲しいと苦しむが・・・
 宗教を信仰する人は、自分の信仰する宗教を正義と考え、そうではない人たち、特に他の宗教を信仰する人を間違っていると考えるのが常です。自分と異なる考えを持つ人に対して排他的、あるいは不寛容になります。ものごころつく前から、親によってその宗教の教えを刷り込まれていたならともかく、ある程度世の中のことを知ってから、親の信じる宗教を信じろといわれても、自我があるのですからそう素直に信じますといかないのは当然です。それを親に対して主張するのはかなり難しいことですが・・・。
 雑誌に連載中は「ぼくんちの宗教戦争」という題名だったようですが、まさしく征人の家は毎日父母による“宗教戦争”が繰り広げられていたのですから、子どもにはたまったものではありません。そんな中で、征人がまっとうに生きることができたのは、彼自身が自分の考えをしっかりと持っていたことと(小学生にしては凄いことです。)、彼を支える同級生の龍之介や相澤、オガちゃんの存在があったからでしょう。
 ラスト、征人が拡声器で話す「世界中の神さまたちに告ぐ・・・」のあとにはどんな言葉が続くのでしょうか。これからどうなるのか、大いに気になります。 
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店長がバカすぎて  角川春樹事務所 
 谷原京子は28歳、独身の武蔵野書店吉祥寺本店の契約社員。彼女が毎日イライラを募らせるのは、吉祥寺本店の店長、山本猛の、周囲の空気が全く読めない、どこかズレた自分勝手な言動の数々。そんな京子と店長を巡る様々な出来事が描かれていく作品です。
 町の本屋さんといえば、本を読む人が少なくなってきているうえに、ネット書店の登場により、わざわざ店まで行かなくても本が買えるという状況の中で、経営は厳しく、昔ながらの街の本屋さんが次々と姿を消してしまいました。どうにか残っているのは大型書店のチェーン店か、地元の大型店だけ。そんな本屋さんの中で、契約社員として奮闘する京子に対して、本好きとして声援を送りたくなってしまいます。
 それにしても、どこかズレている、この山本店長。書店の店員としての知識も持っていない人が店長とは、設定としてどうなのかと思ってしまうのですが、そこがこの作品の肝なんですから、止むを得ないのでしょう。店長と京子とのズレたやり取りに思わず笑ってしまいます。テレサ・テンの「つぐない」のくだりには思わず「うまい!」と言って笑ってしまいました。
 最後にあっと言わせる仕掛けがありますが、このストーリーの展開なら種明かしはきっとこうだなと最初からわかってしまい驚きはありませんでした。ほとんどの読者が、展開を予想できたことでしょう。できなかったのは、店長御用達のビジネス本の著者がまさかあの人だったとはねえ。 
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笑うマトリョーシカ  文藝春秋 
(ちょっとネタバレ)
 物語の冒頭、官房長官就任直前の清家一郎と秘書の鈴木俊哉は、清家の自叙伝「悲願」について取材に来た女性記者を迎える。ひととおりの取材が終わる頃、彼女から清家の大学時代の卒論の話が持ち出される。それは、ヒットラーを操ったといわれる人物ハヌッセンについての卒論だった。作者は、読者に対し、清家がヒトラーとすれば、そんなヒトラーを操るハヌッセンは誰なのかという疑問を抱かせながら、物語は清家と鈴木の出会いとなる高校時代に遡っていきます。
 父親が贈収賄事件に関わったことで、東京を離れ、愛媛の高校に入学した鈴木俊哉。将来は政治家を目指していたが、父親の事件から自分が政治家になることは諦め、代わりに有力政治家の妾腹の子であり、父親と同じように将来は政治家になりたいという同級生の清家一郎のブレーンとなり政治の世界に進むことを決意する。手始めに、清家を候補者にして生徒会長選挙に挑み、鈴木の作戦によって見事会長に当選した清家は、その後、早稲田大学へと進み、卒業後は地元の有力代議士の秘書となり、更に代議士の不慮の事故死で後継候補となって27歳で国会議員に当選する。鈴木は清家の秘書として、彼と一緒に歩み、いよいよ47歳の時に官房長官の地位を獲得するが・・・
 高校時代から官房長官の座に就くまでの間、鈴木を性で夢中にさせる清家の母や、大学生になった清家と同棲し彼の意思を操り鈴木との仲違いを画策する美和子が登場してきます。果たして、清家を操るハヌッセンは誰なのか。鈴木なのか、清家の母なのか、美和子なのか、それともそれ以外の者なのかが、この作品の読みどころとなります。官房長官という権力者の地位についた者が実は誰かの操り人形に過ぎないかもしれないなって、これはおもしろいです。私たちにとっては魑魅魍魎の跳梁跋扈するとしか思えない政治の世界なので、それもあるかなとも思うのですけどねえ。 
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新!店長がバカすぎて  角川春樹事務所 
 前作から3年後を描く「店長がバカすぎて」の続編です。
 宮崎の山奥の店に左遷された山本猛店長に代わって武蔵野書店吉祥寺店の店長を務めていた小柳さんが結婚を機に退職。その後任として、左遷されたはずの山本店長が再び店長に復活する。どこかズレている店長の復活で主人公・谷原京子やスタッフのイライラは募るばかり・・・。
 小柳さんが店長となり雰囲気が良くなった店が山本店長の就任で元の状態に。京子は前作のパートから正社員になりましたが、給料はそれほど変わらず、責任が重くなったばかりで、書店の先行き同様前途は多難。前作では山本店長に手を焼いた京子ですが、今作では山本店長に加え、店長と同じ姓の新規入店したバイトの山本多佳恵の取扱いに戸惑い、更にはSNSでのインフルエンサーを目指し、次々と新たなメニューを考え出す父にも驚かされる上、社長の跡取りの専務、柏木雄太郎に切れて怒鳴ったところ、なぜかそれ以降彼に懐かれてしまい食事に誘われた挙句にとうとう告白されるのかという状況に・・・。この波乱の展開、告白騒動の結果はといえば多くの読者の予想どおりになりますが。
 最後には、思わぬ人物の正体が明らかとなり驚かされるのは前作同様です。ただ、この驚きは前作の展開を考えると、予想できてしまいましたけど。 
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アルプス席の母  ☆  小学館 
 物語は冒頭、夏の甲子園球場のアルプス席から始まります。秋山菜々子が見つめるグランドには夫を亡くした後、シングルマザーの看護師として育てた息子・航太郎の姿が。ただし、ピッチャーである航太郎はグラウンドに立っているのではなく、ベンチの監督の指示を伝える伝令役として。物語はそこから航太郎の中学3年生の頃に遡ります。
 幼い頃から野球をし、シニアリーグでも活躍した航太郎は、甲子園を目指す大阪の新興の高校に誘われ入学を決意する。菜々子は息子について住み慣れた神奈川を離れ、大阪で看護師として勤め始める。航太郎が入った新興の希望学園高校は、航太郎が3年生になった時の全国制覇を目指し、地元大阪だけではなく全国から有力選手をスカウトしていた。そんな中、菜々子を悩ませるのは父母会から渡された10数ページにも及ぶ父兄会心得と同調圧力を感じさせる母親たちの繋がり。一方、航太郎は1年から試合に出たものの肩を痛め、ピッチャーを諦めようとしていた・・・。
 我が子は全国大会に出るような部活動に参加していたわけではないので、こうした全国大会に出るような部活動の実態はまったく想像もできませんが、多かれ少なかれ、全国から有力選手を集め甲子園を目指すような高校では、学校だけではなく父母の協力もなくてはならないことなのでしょう。しかし、とてもではないですが、この作品で描かれるような父母会には参加はしたくないのが多くの父兄の本音でしょうね。やがて、菜々子の行動は少しずつ父母会のメンバーの心も動かし、父母会の雰囲気も変わっていきます。ラスト、ストーリーは予想外の展開へ。
 母と子の物語です。航太郎が幼い時に夫を病気で亡くし、一人で育てた菜々子に対し、航太郎は小学校の卒業文集で将来はドラフトにかかり、契約金は母にあげたいと書きます。こんな素敵な男の子がいるんですかねえ。航太郎がインタビューを受けて語る言葉は素敵です。 
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