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原浩の本棚

  1. やまのめの六人

やまのめの六人  KADOKAWA 
 宝石店を襲った強盗犯たちが峠道を逃走する途中、土砂崩れに巻き込まれ、車が横転し仲間の一人が死亡する。道路も通行不能となり、思案しているところに近くの家の者だという兄弟が現れ、彼らを家に避難させる。そこには兄弟の母親だという老婆がいたが、やがて入れてくれたコーヒーを飲んだ者が動けなくなり、豹変した親子に脅され、彼らは椅子に手錠で拘束される。親子は峠道を通る旅行者を襲い、金品を奪ったうえで殺害することを繰り返していた。彼らは脱出を試みるが、やがて、仲間の人数が6人ではなく5人であり、いつの間にか1人増えていることに気づく・・・。
 帯に「密室ホラー×ミステリ!」とあるとおり、得体のしれない“やまのめ”という化け物が仲間の中に紛れ込んでおり、更に老婆とその二人の息子という、これまた得体のしれない人物に襲われるという点ではホラーであり、果たして“やまのめ”は誰なのかという点ではミステリーでもあります。
 いつの間にか仲間が一人増えており、それが誰か分からないという設定は萩尾望都さんの「11人いる」みたいです。章ごとに語り手が変わるので、その都度視点も変わり、もちろん“やまのめ”である者は嘘をついているわけなので、いったい誰が“やまのめ”なのかがなかなか分かりません。仲間たちが疑心暗鬼の中のドラマは緊迫感があります。
 しかし、読んでいてその“やまのめ”以上にストレートに怖いのが母親の老婆です。老婆なのに身のこなしが早くて、この老婆の方が“化け物”に相応しいです。 
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