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東直己の本棚

  1. 探偵はバーにいる

探偵はバーにいる ハヤカワ文庫
 札幌の歓楽街ススキノの私立探偵といえば聞こえがいいが、何でも屋の“俺”を主人公としたススキノ探偵シリーズ第1弾です。題名はH23年に公開された映画と同じですが、映画の原作はシリーズの2作目になります。
 部屋を出て行ったまま帰らない女の行方探しを依頼された“俺”は、その女がホテルの殺人事件に関わっていることを探り当てる。彼女の行方を追う中で殺人事件の様相が次第に明らかとなってくるが・・・。
 ハードポイルドの探偵というと、どうしてもストイックな男を想像しがちですが、この作品での探偵の“俺”はちょっとイメージが異なります。ぼったくりバーに引っかかった被害者の依頼で金額の交渉をしたり、店の女の子に依頼されてツケが溜まっている男から飲み代を回収したりと、ススキノの裏の世界をうまく泳ぎ回っています。決して格好いいとは言えない探偵ですが(だから、映画で大泉洋さんが演じたのはピッタリでした。)、ある意味魅力的なキャラクターです。ハードカバーで発売されたときに読んで以来ですから19年ぶりの再読でしたが、中盤以降はいっき読みでした。
 今回、映画で松田龍平さんが演じた北大農学部の助手は出番があまりありませんでしたが、第2作に期待です。
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