つい先日まで“ありかわひろし”さんという男性作家だと勘違いしていた有川浩さんの作品です。図書館シリーズは知っていたのですが、女性だったとはなぁ。
今回、有川さんが物語の舞台に選んだのは、片道わずか15分、阪急宝塚駅と西宮北口駅を結ぶ、駅数8駅という関西のローカル線“阪急今津線”です。その今津線を舞台に一駅ごとに繰り広げられる、様々な人たちのエピソードが描かれます。
各話がわずか10ページ強の短さですが、短い中でもそれぞれのエピソードが印象的に語られます。また、話によって主人公は交代しますが、前の話や後の話の主人公たちが顔を覗かせていて、一つの繋がったストーリーとしても楽しむことができます。
主人公たちのキャラクターが、これまた素敵なんですよね。特に元恋人とその恋人を寝取った後輩女性との結婚式に花嫁以上に華やかに着飾って出席した翔子は最高のキャラですね。翔子のようなはっきりした女性は好きなんです。そんな翔子に声をかけた老婦人の時江も素敵に歳を取った女性です。翔子が歳を取ったら時江のようになるかなという感じです。
そのほか、国際的ネズミ(これは、ミッキーマウスのことですね)のキャンパス地のトートバックを持ったユキ、見た目派手な女子大生ミサと、この作品に登場する女性は元気な(別な言い方をすれば気の強い)女性が多いです。みんなとっても魅力的です。それに比べて男性の登場人物たちはちょっと影が薄いですね。
後半の折り返しでは、前半の登場人物たちの後日談が語られるという構成も楽しむことができます。おすすめです。 |