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青木知己の本棚

  1. Y駅発深夜バス

Y駅発深夜バス  創元推理文庫 
 学習参考書を扱う出版社に勤める坂本康明は妻から紹介された原稿執筆者の接待で遅くなり、終電もなくなったため、妻から聞いていた夜行バスに乗って帰宅するが、途中のパーキングエリアで奇妙な光景を目撃する。翌朝、坂本が乗ったはずのバスはその日には運行していないことがわかる。後日、団地の隣室の男の引越を手伝った坂本は通りがかった年輩の男から夜行バスに乗った夜に隣室で起こった自殺事件に隠された真実を聞かされる・・・。第一部は異世界に迷い込んだかのようなホラー、あるいはSFテイストの雰囲気が漂っていましたが、第二部でいっきに驚きの謎解きがされます。
 「猫矢来」は中学生の女の子の恋を背景に、学校での嫌がらせと隣家の不思議な行動という一見何の関係もない出来事がやがて関りがあったことが明らかにされていく作品です。中学1年生の仲川里奈は、ある日小学生をカツアゲしている同級生の岸部らから小学生を助けるが、翌日から岸部らによる里奈への嫌がらせが始まる。一方、里奈の家の隣に引っ越してきた藤崎家は塀の上にプランターを並べたと思ったら今度はベットボトルを隙間なく並べていた・・・。
 「ミッシング・リング」は謎解きの前に「読者への挑戦」が挿入されているという本格ミステリの体裁をとった作品です。大学時代の友人5人は久しぶりに旧交を温めようと、太田美咲の別荘に集まる。相庭浩一はその日、美咲に婚約指輪を渡すサプライズを考えていたが、バックの中に入れておいた指輪がいつの間にかなくなってしまう。5人は倉橋春菜を探偵役に犯人探しをする・・・。しっかり読めば「読者への挑戦」にあるように論理的に犯人を指摘できますが、作者のミスリードにうまく騙されました。
 「九人病」は一転、ホラー作品です。寂れた温泉地の取材に訪れた雑誌編集者の和久井は唯一あった宿で相部屋になった男から山中の集落に発生する9人にだけ感染するという伝染病「九人病」の話を聞く。もしかして、自分も感染してしまったのではないかと恐怖するが・・・。驚かせ、安心させたところで再度の驚きという典型的なホラーのパターンです。
 「特急富士」は新幹線の時刻表トリックを使った倒叙ミステリです。作家の間島は愛人の沙耶に黙って彼女の習作に手を加えたものを編集者に渡したところ、その作品が日本推理作家大賞を受賞してしまう。沙耶に知られたら盗作だと騒がれると考えた間島は彼女を殺害しようとするが・・・。 
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