11人兄弟の末っ子の生夫くんの身近に起こる不思議な出来事を下宿人のヨモギさんが解明するという日常の謎ミステリです。11人兄弟という設定がすごいですね。ただ、物語の中に主として登場してくるのは、現在同居している成子、訓子の双子の中学生、フリーターの緑、高校三年生の茅弥と光で、あとは時々顔を出す程度ですが。
プロローグとエピローグの間に、父母の死を悼む家族の集まりの日に、集合場所で家族を待ちながら生夫が回想する3つの話が挟まります。その3つの話が、生夫が小学生の頃に遭遇した、消えた鉄道模型の謎、無言電話の謎、玄関に置かれていた絵本の謎です。どの謎についても、悩んでいた生夫の前にヨモギさんがふらっと出てきて解き明かしたという思い出が生夫にはあります。意外な真相が飛び出してくるわけではありませんが、生夫が子どもなりに一生懸命考える姿がやさしく描かれています。
エピローグで、えっ!と思わされることもあり、楽しく読むことができました。最後は、まあそうくるだろうなというエンディングです。日常の謎とともに家族の関係も描いた作品だったのですね。 |