初めて読んだ秋吉理香子さんの作品です。
ミッション系の女子校の文学サークルで行われる闇鍋の会(ミッション系の女子校で闇鍋とはなんてミスマッチな設定でしょうか。)。その席で、経営者の娘であり、サークルの中心人物であった白石いつみがテラスから転落死した事件の真相をサークル員がそれぞれ小説にして語ります。
彼女らが告発する犯人はそれぞれサークル内の人物。家は貧しいが奨学生として入学した二谷美礼、老舗の料亭の娘であり洋菓子作りが好きな小南あかね、ブルガリアからの留学生であるディアナ・デチェヴァ、亡くなった父親の後を継いで医者を目指す古賀園子、高校生ながら書いた小説が賞を受賞した高岡志夜、そしてサークルの会長で闇鍋の主催者であり、いつみの親友である澄川小百合の6人の中、いったい真犯人は誰か。いつみが死んだときに手に持っていた“りんどう”は何を指し示すのか。なぜ、それぞれの語る物語に矛盾が生じているのか。いったい誰の言うことが本当で誰の言うことが嘘なのか。それぞれの語る物語からは論理的に犯人の姿を浮かび上がらせることはできません。しかし、犯人を指摘する彼女らの意図するものを知ったときはびっくりです。そして、ラストで読者に明らかにされた事実には、若い子って怖いなあと思ってしまいます。
闇鍋というのがくせ者で、あんな形でこの闇鍋が話の展開に関わってくるとは、まったく思いもよりませんでした。この作品がいわゆる「イヤミス」に属するのがわかります。読後感悪いです。 |