●辞書環境を整えよう |
1.電子辞書の優位性
2.英語辞書環境の紹介
2−1.バビロン
2−2.PDIC+英辞郎
2−3.DDwin+電子ブック辞書
コンピュータを使って英語学習を行う場合には、コンピュータなしで行う場合に比べて、非常に多くのメリットがある。そのひとつがここで扱う『辞書環境』である。快適な辞書環境を構築することができれば、あとあとの英語学習に伴う「辞書を引く」という無駄な(?)時間を大幅に節約することができる。延いては英語学習の効率を大幅に向上させることができるので、辞書環境を整えるために多少の投資をするのは、今後とも長く続けていく英語学習の時間に比べれば安いものではないだろうか。
試しに、時間を計りながら以下の5つの英単語を手元の紙の辞書で引いてみてもらいたい。いったく何秒かかるだろうか。
humiliation mastermind snug titillate ominous
2分以内に引けた人は、かなり辞書引きが速いといえるだろう。しかし、辞書を引いて意味を確認するだけでなく、覚え書きのためにノートに英単語とともに、その日本語の意味を書き出すとなると、5分以上はかかるはずだ。ところが、コンピュータの電子辞書を利用すれば、10秒以内に辞書引きが可能だ。また、引いた辞書内容を書き出す場合にも、電子辞書なら1クリックか2クリック程度で可能なので、意味をクリップしながら5つの単語を辞書引きしても20秒はかからない。その差は歴然としている。まさに桁違いの速さである。また、使用する辞書によっては音声で発音を確認することもできる。これは従来の紙の辞書にはなかった非常に大きな利点であろう。
もう一度、コンピュータ電子辞書のメリットを確認しておこう。【辞書引きの結果】
humiliation (名) 恥をかかせること; 屈辱 mastermind (動) 立案して指揮する (名) 傑出した知性; 首謀者 snug (形) 居ごこちのよい; こぢんまりした; 気持のよい; ぴったり合う titillate (動) 快く刺激する ominous (形) 不吉な; 前兆となる
【電子辞書のメリット】 (1)圧倒的に速い
画面上に単語が見えている場合には、英単語の入力すら必要ない
(2)辞書内容を簡単に転記できる
手書きに比べて非常に簡単に単語帳を作成できる
(3)発音を確認することもできる
紙の辞書にはない、非常に大きなメリット
私は、コンピュータ上に3種類の辞書を装備している。3種類というよりは3段階と言ったほうが適切かも知れない。それぞれに特徴があり、時と場合により使い分けている。
第1層=バビロン
第2層=PDICによる英辞郎
第3層=DDwinによる電子ブック辞書
Babylon(シェアウェア) Homepage http://www.babylon.com/ Babylon-Proはクリックされた単語を瞬時に辞書検索してくれる強力な情報ツールだ。
英和だけでなく和英、英英も利用することができる
Babylonの'発音'機能により英単語の正しい発音を男性あるいは女性の音声で聞くことができる。
辞書引きした単語を意味とともに保存することができる。
babylon は、初期設定では画面上に表示されている英単語にマウスカーソルを合わせて右クリックするだけという、非常にシンプルな操作で辞書を引くことができるので、分からない単語が出てきたときに真っ先に利用する辞書だ。英単語の発音記号は表示できないが、音声で発音を聞くことができるので、それで十分だろう。そもそも発音記号は紙を媒体とする旧来の辞書では音声を聞くことができないから発明されたものなのだから、音声を聞くことができればそれに越したことはないわけである。
babylon が、他の辞書と決定的に異なるのは、辞書引きしようとする英単語がたとえ画像ファイルに記録された文字であっても検索できる点である。スキャナで原稿の文字認識を行うのと同じ原理で、画面上のマウスカーソルのある場所をスキャンして文字認識を行うため、あらゆるアプリケーション上で、辞書検索を行うことができる。また、マウスカーソルの前後をスキャンするので、出現頻度の高い典型的な熟語などは自動的に検索してくれる。
提示される訳語は、他の電子辞書に比べてかなりシンプルである。だからこそ日常的に利用しやすいとも感じられる。紙媒体の辞書に記載されているようなたくさんの訳語や例文がだらだら出たのではかえって使いにくく感じられる。
babylon は、辞書引きした単語を3種類の形式で保存することができる。BPS形式は、babylon 固有の形式で babylon 保存ウィンドウに呼び出せる形式だ。他に、Text形式、HTML形式で保存することができるので、単語帳が簡単に作成できることも大きな魅力だ。ただ、残念ながらクリップボードにコピーすることはできない。
100万語収録のスーパー英和・和英辞典「英辞郎」(\1800) Homepage http://member.nifty.ne.jp/eijiro/
購入ガイド http://www.amazon.co.jp/左図は、英単語をクリップボードにコピーして、クイック・ポップアップ検索という自動検索をさせたところである。
検索結果をクリップボードにコピーしたければ、この状態からさらに、Ctrl+B を押す。上の状態から Ctrl+Enter を押せば、PDIC(Personal Dictionary for Win32)本体のウィンドウが出現する。
フォントをインストールすることにより発音記号も表示させることが可能だ。
残念ながら発音を聞くことはできない。
旧来の辞書では、見出し項目の中に含まれてしまう熟語や成句、用例などがすべて見出し項目に挙げてあるため圧倒的な語彙数を誇る。
残念ながら、単語帳を作成する機能はない。
また、例文などはほとんど収録されていない。
babylon で辞書引きを行っても出てこない場合には英辞郎で引く。また babylon で適切な訳語が見当たらない場合や、成句、連語などの意味を知りたいときに使用している。翻訳家たちが育てた辞書と言うだけあって、訳語が非常に豊富だ。熟語・連語などは、普通の辞書と違って単語とは別項目立てになっているので、辞書引きがかなり確実に可能だ。
ここで扱う「電子ブック」とは、電子ブックプレーヤー SONY DATA Discmanで使用される CD-ROM 辞書のことです。音楽CDで俗に「CDシングル」と呼ばれているものと同じ大きさ(直径8cm)で、ホコリなどが付かないようにキャディケースに入っています。
電子ブックについてのもう少し詳しい情報は、以下のサイトをご覧ください。
「電子ブック」のページ
元来は、専用の電子ブックプレイヤー用に作られたのですが、CD-ROM ドライブを搭載したパソコンの普及とともに、「パソコンでも扱えないか?」という需要が増大し、現在では、Windows や Macintosh などのパソコンでも、活用することができるようになっています。
パソコンで電子ブックを扱うための市販ソフトももちろんありますが、わざわざお金を出して購入しなくても、『DDwin』 という非常に有用なソフトがフリーソフトとして公開されています。作者の 草本和馬 様には、この場を借りてお礼申し上げます。ほんとうにすばらしいソフトウェアをありがとうございます。
DDwin Ver2.64(フリーソフト) Homepage http://homepage2.nifty.com/ddwin/ 電子ブックプレーヤー用の電子ブック及びEPWING 規約のCD-ROMを、Windows 95/NTなどで使用するためのプログラム。
1.ダウンロード
2.インストール
ダウンロード後、ダブルクリック
別途、電子ブック、EPWING 規約のCD-ROMが必要です。
動作OS Windows95/2000/NT
このDDwin のすばらしい点は、通常の前方一致・後方一致検索などに加えて全文検索できることが挙げられます。そして何よりも電子ブックの辞書ファイルをハードディスクに転送しても利用可能である点、そしてその結果として、複数辞書を一気に検索する「串刺し」検索が可能であることが大きな特徴です。
検索を行う場合に注意すべきことは、本来漢字入力のできない電子ブックプレーヤ用の辞書なので、検索はひらがな入力された言葉をキーにして行われます。したがって、検索欄に漢字で入力しても検索結果を得ることはできません。
DDwinもPDICと同じように、ポップアップ形式で自動検索させることができますが、英単語に限っては、名詞の複数形や動詞・形容詞の活用形などを辞書引きさせた場合、前方一致でも、完全一致でも候補が見つからず検索不能のことがしばしばあり、残念ながらあまり実用的とは言えません。
babylonと英辞郎で調べて、訳語が分からないということはほとんどありません。したがって、リーディングに際して電子ブックを利用することはほとんどないとないのですが、英作文などできちんと英単語の用法などを理解しなくてはいけない場合には、電子ブック辞書の存在は非常に頼りになります。
お薦めの辞書は、『電子ブック版 リーダーズ+プラスV2』
『電子ブック版 新編英和活用大辞典』
この他に、『音声入り電子ブック版三省堂スーパー英和・和英辞典』
あるいは、 『音声入り電子ブック版三省堂 三省堂新辞書パック11』
のどちらかを持っておくと便利ではないでしょうか。