眠りから覚めれば

 温かい温もりに包まれている事に気付いた








正しい工藤邸の訪ね方3








 目を覚ませばベットの中で真っ白な人物に抱きしめられていて、ついでに腕枕までされていた。
 服を着ていたのが幸いと言えば幸いだったのだが…。


「何してんだよ怪盗」

 夜這いは犯罪だぞ?

「夜這いって……名探偵覚えてないんですかι」
「ん?」


 何やらガックリと肩を落としている怪盗に新一は首を捻って、寝起きでまだ働いていない頭で昨夜の事を思い返してみた。
 そういえば…

『観念して私と朝まで一緒に過ごして下さいねvv』

 なんて激しく怖い事を言われたような気がする。
 それでその後………。


「覚えてない」
「やっぱり…ι」


 思いっきり記憶が途切れている事に気付いた新一がそう言えば、溜息混じりにけれど予想していた事態だったかの様に語る怪盗に新一は更に首を捻る。


「何したんだ俺…」
「………気になりますか?」
「そりゃ気になるだろう」


 何で探偵と怪盗がベットの中で仲良く一緒に寝てんだよ。


「……仕方ありませんね…」

 渋々、といった形で語りだされたKIDの話に新一は大人しく耳を傾けたのだった。








『観念して私と朝まで一緒に過ごして下さいねvv』


 と満面の笑みで語った怪盗に対し…。


『嫌だ〜!!!』


 と、思いっきり叫んだ名探偵。
 その叫び声にお隣の工藤新一至上主義者(またの名をマッドサイエンティスト)の灰原女史が気付かない筈がなく…。


『どういう事か説明してもらおうかしら?』


 問題発言をした怪盗とその言葉に思いっきり絶叫した名探偵は、あの後駆けつけた哀に何故かリビングで仲良く(…)正座をさせられていた(爆)


『こいつが悪い』


 横に正座している怪盗を指差し、俺は何も悪くないと主張する(自称)被害者の名探偵。


『名探偵!それはあんまりじゃないですか!!』


 それに対しぎゃいぎゃいと反発をする怪盗(多分)紳士。


『うるさいわね。さっさと何がどうしてこうなったのか説明しなさい』


 そんな二人を絶対零度の冷たい声で凍りつかせる(マッドサイエンティスト)灰原女史。
 ――この三人では勝者など解り切っている…(笑)

 哀の余りに冷たい声と視線に生命の危機(…)を感じた二人は仕方なく、けれどいかに自分が正しいかという事を交えつつ事件(?)の詳細を語った。
 そしてそれを静かに聞いていた哀の顔が話を聞いていくうちにどんどんと不機嫌な物になっていき…聞き終わった哀の口から出た言葉は、


『つまり何処かの馬鹿な怪盗が探偵の家のチャイムを鳴らして訪ねてきて、それをどっかの馬鹿な探偵が素直に招き入れたって訳ね…。』


 と、詳細を端折りまくってしかも双方を思いっきり蔑んだ物だった(爆)


『馬鹿って何だよ!』

 しかも俺は素直に招き入れた訳じゃねえ!!


 反発する被害者(?)の名探偵。


『………』


 どうやら否定できないらしい怪盗(元)紳士。
 これを見ればどちらに非があるか等ある意味明らかなのだが…、


『煩いって言ってるでしょ。まったく夜中叫び声が聞こえたから何があったのかと思ってきてみれば…何で私がこんな馬鹿な人達に付き合わされなきゃいけないのよ…』


 どうやら灰原女史に言わせると同罪らしい。


『こんなバ怪盗と一緒にすんじゃねえ!』


 そんな哀に怪盗と一緒にされるのは御免だと新一が喚けば、


『バ怪盗とは何ですかバ怪盗とは!!』


 もれなく怪盗から予想通りの反発が返ってきて…


『バ怪盗にバ怪盗って言って何がわりいんだよ!!』


 それに対しまた新一も怒鳴り返して…。
 そのまままたしても続きそうな怒鳴り合いに、それまで耐えに耐えていた哀は…そりゃもう思いっきり………切れた(爆)


『…………貴方達…この際だから新薬の実験台になってもらうわ…』
『『!?』』
『嫌とは言わせないわよ?』


 にっこりと微笑む哀の瞳が笑っていない事に無論気付いている二人が何とか逃げ道は無いかと焦っているうちに、二人の目の前に二つのカプセルが差し出された。


『一つはただの睡眠薬。もう一つは………』


 意味深に言葉を切った哀に対し、新一は恐る恐るその先を尋ねてみる。


『もう一つは何なんだよ?』
『………まあ、いいじゃない。飲めば解るんだから』


 先ほどよりも更ににっこりと微笑まれて、新一とKIDは見事なまでに凍りついた。


『飲まないって言うなら………それなりの事を覚悟して頂戴ね?』


 もはや二人に逃げ道なし(爆)
 仕方なく…と言うより泣く泣く二人して差し出されたカプセルを飲もうと哀の手のひらに乗っているカプセルに手を伸ばしたのだが………。


『怪盗…手どけやがれ』
『名探偵こそ…どうしてこっちを選んだんですか?』


 二人が取ろうとしたのは哀から見て右のカプセル。
 その理由は…


『だって明らかにあれは怪しいだろ…ι』


 そう…二人が手を伸ばしたカプセルは一般に出回っている薬のように、白と赤の色合いの物。
 けれどもう一方は………


『ええ…ι』


 紫と黒というおどろおどろしい色合いの物体だった(爆)

 そんな恐ろしい物体に手を伸ばせるはずが無い。
 よって選択肢としては左のカプセルしか残っていなかった…。


『だから、手をどけろ?』


 にっこり微笑んで言う名探偵に対し、


『名探偵…探偵の家で死人を出すつもりですか?』


 と、怪盗も負けじと微笑んでみせる。
 そんな二人を見た哀は二人に対し…、


『失礼ね。死なない程度には作ってあるわよ』


 と、爽やかに言ってのけた(爆)


『『死なない程度って………ι』』


……………もしかしなくても、ほぼ死亡に近いって事か!?


 非常に怖い突込みを心の中で入れながら、引き攣った笑みを浮かべる新一とKID。
 意地でもそんな恐ろしい物体は飲めないとお互い譲ろうとしない。


『死なないんだからいいだろ!』
『死ななくてもどうなるか解らないじゃないですか!』
『うるせえ! 大体原因を作ったのはお前なんだからお前が飲め!!』
『こうなったのは名探偵が叫んだせいでしょう!!』


 ………きりがない(爆)


『貴方達………いい加減にしないと、二人ともこっちを飲ませるわよ?』


 恐ろしい言葉と共に指し示された紫と黒の色合いのカプセル。
 ………てか…そっちだってばらしてますよね灰原女史…ι


『『…………すみませんでした』』


 丁重に哀の申し出をお断りして、新一とKIDはヒソヒソと密談を始める。


『どうする?』
『いえ…どうすると言われましても…』
『じゃあお前が飲めよ』
『それは嫌です』


 新一の提案をきっぱりと断ったKIDに対し、新一はふむ…と何時もの推理ポーズをとる。


『それならこうしよう』
『?』
『お前が白と赤のカプセルを飲む』
『え、ええ…』
『んでもって、その後黒と紫のカプセルを飲む…と』
『成る程………って、何の解決にもなってないじゃないですか!!!』

 それってつまり両方私に押し付けるって事ですよね!?

『ちっ…引っ掛からなかったか…』

 勢いで返事するのを期待したんだが…。

『………名探偵…ι』


 自分の生命の危機を感じている名探偵。
 やり方が姑息である(爆)

 仕方ない…と再び推理ポーズをとった名探偵。
 どうやら別の解決方法を思いついたらしい。


『なら…ここは平等に…』
『平等に…?』
『「平成のシャーロック・ホームズ工藤新一VS平成のアルセーヌ・ルパン怪盗KID、ジャンケン三連続先取した方が勝ちよ選手権!」でどうだ!』


 …………名探偵激しくご乱心(爆)


『ええ、受けて立ちましょう!!』


 …………KID様ノリノリ(笑)


『なら審判が居るわね。』


 …………女史までノリノリ!?


 かくして何故か夜中の3時という時間にも関わらず、工藤邸では『ジャンケン大会(略しまくり・笑)』の火蓋が切って落とされたのであった…。








to be continue….


本日の昼食時、友人に「何食べたい?」と聞かれ「パン!」と言ったら「私はオニギリがいい!」と…。
んでもって爽やかに始まったジャンケン大会…。
結果…惨敗(爆)今日のお昼はオニギリでした(笑)
何はともあれそのお陰でジャンケン大会のネタになったんだけどな…(友人Kよありがとう!)←ここ教えてないけどな(爆)
それにしても…女史までご乱心…ι



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