――ピーンポーン♪


 誰が押しても同じはずのチャイムが少し楽しげになった様な気がしたのは


 きっと新一の気のせいではないだろう…








正しい工藤邸の訪ね方2








「………あのなぁKID…」
「何ですか名探偵♪」
「何処の世界に探偵の家のチャイムを鳴らして、外で待ってる怪盗が居るんだ?」


 先程のチャイムは目の前に居るこの白い怪盗によるものだったらしい。
 チャイムが鳴ったので玄関に出てみれば、この有様。

 夜中の2時という時間が幸いして誰にも見咎められなかったのがせめてもの救いだったが。


「ここに居ますけど?」

 前回の様に不法侵入と言われたくはありませんでしたから。(詳しくは『正しいご訪問の仕方』を参照)


 と、満面の笑みでそう答えられれば、


「……………馬鹿だろお前」


 新一の口からはもうその言葉しか出てこなかった。


「もちろん私は名探偵馬鹿ですから♪」
「……………見なかった事にしよう」


 名探偵KID様の肯定の言葉に、潔く現実逃避(爆)
 そのまま玄関の扉を閉めようとする。


「ちょっと待って下さいよ!」

 何ですかその『見なかった事にしよう』って言うのは!


 しかし、その辺は自他共に認める(?)新一馬鹿のKID様。
 すかさず、ドアを閉めようとしていた新一の行動を止める。

 そこでどさくさに紛れて新一の手を掴んでいた事は秘密♪(笑)


「離しやがれこのバ怪盗!!」


 けれどこちらは黄金の右足の持ち主である名探偵。
 すかさず自前の凶器(…)である右足で攻撃。

 っていうか、秘密も何も思いっきりばれてますKID様…ι

 しかし、こちらも腐っても(…)現役の怪盗。
 右足の攻撃をひらりとかわし、すかさず新一を抱き上げる。


「こら! 離せって言ってんだろ!!」
「嫌です♪」
「嫌じゃねえ!! つうか、語尾に音符マークつけんな!!」


………問題点はそこでいいのか?工藤新一…ι


「解りました。では音符マークは付けませんからお家に入れてくださいねvv」


………で、ハートマークはいいのかKID様?


「…………疲れた」


 どうやら壊れKID様(…)との会話で相当精神的に疲れた様子の新一。
 すっかり抵抗する気も失せた様で、KIDの腕の中でぐったりとしてしまう。


「なら私がベットまでお運びしますからvv」


 だからハートマークはいいのか?


「………もういい…任せる…」
「解りました。しっかり任されますねvv」


 工藤新一、素直に試合放棄(爆)
 KID様にいい様に2階に連れて行かれてます。


「そういやお前何しに来たんだ?」


 階段を登りきったKIDに新一は今更ながらの質問をかます。

 しかしその辺は名探偵の性格を熟知しているKID様。
 至極当然のように、


「もちろん名探偵にお会いする為にvv」


 と、満面の笑みで腕の中の新一の微笑みかける。
 その微笑みはきっとKIDのファンが見たら卒倒物の代物。


「………ならもう用は済んだんじゃねえのか?」


 が、しかしそんなKIDの色仕掛け(違)もこの探偵には通じなかったようだ(爆)
 新一のもっともな意見にKIDは何時ものポーカーフェイスは何処へやら、途端に難しい顔になる。


「いえ…それはそうなんですが…」
「ん?」
「人間というのは欲張りなものでして…」
「詰まる所要点は何だ?」


 新一さん…さくさく話しを進めすぎです(爆)


「まあ詰まる所名探偵と朝までご一緒したい訳ですvv」
「…………何処をどうしたらさっきの用事からそこに飛ぶんだ?」
「さぁ?」
「『さぁ?』じゃねえだろ!! てめえだ! てめえが言ったんだ!!」


 KID様の激問題発言に新一さんご乱心(爆)
 途端に要注意人物の腕の中でじたばたと暴れだす。


「ちょっ、名探偵! そんなに暴れたら危ないでしょ!?」
「うるせえ! お前の腕の中に居るよりはよっぽど安全だ!! さっさと降ろしやがれ!!」
「嫌ですvv」
「嫌じゃねえ!!!!」


 なおもKIDの腕の中で暴れてみるがそれも後の祭り。
 とてもじゃないが出られそうにはない。


「観念して私と朝まで一緒に過ごして下さいねvv」
「嫌だ〜!!!」


 その日最後に工藤邸に響き渡ったのはそんな新一の悲痛な叫びだった…。









END.


これはKID様ご乱心だけじゃなく、新一さんご乱心警報も必要か?(爆)
チャイム鳴らして入ってくるKID様…書きたかったんです…えへ♪(オイ)


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