前回の犯行から約1ヵ月
そろそろ新一の悪夢の記憶も薄れ始めた頃
次の犯行が行われようとしていた…
〜食後のお楽しみ♪2〜
「新一♪」
「ん」
「お昼何がいい?」
「ああ」
「ああ。って新一…ι」
(何がいいかってきいてるんですけど…)
我等が名探偵工藤新一。
またの名を推理小説の虫(爆)
そう…新一は現在読書中である。
読書中の彼に何かを聞いても、返事を期待してはいけない。
新一が本に集中している時は何に対しても生返事。
はっきり言って会話にならない(爆)
いつもならそんな新一に拗ねてしまう快斗なのだが…。
(ふっ…今日の快斗君には作戦があるんだな♪)
どうやら今日の彼には何か作戦があるらしい。
(これで今日は勝ったな…)
そんな快斗の心の声と共に取り出されたのは、何の変哲もないテープレコーダー。
(今の新一ならいける!!)
「新一?」
「ん」
「お昼外に食べに行こうか」
「ああ」
「行く店俺が決めても良い?」
「ん」
(よし!録った!!)
どうやら快斗君の作戦とはこれだったらしい。
はっきり言ってかなり卑怯である(爆)
が、録ってしまえばこっちのもの。
快斗は新一が本を読み終えるまで大人しく待つ事にしたのだった。
「まあまあ、かな」
そんな呟きと共にハードカバーの本が閉じられた。
「新一♪」
それとほぼ同時に名前を呼ばれる。
それは何時もと同じことなのだが…今日はいつもと声のトーンが違う事に新一は嫌な予感を覚えた。
通常、本を読んでいる間構ってもらえなかった快斗は新一が読み終わる頃にはすっかり拗ねてしまっている。
こうして語尾に音譜マーク付きで呼ばれる時には必ず何かあるのだ…。
「…なんだ?」
(今度は一体何をする気だこいつは…。)
内心少し不安になりながら、しかしそれを表面には出さずに普通に答える。
「はい、早く本片して♪」
楽しげにそう言ってくる快斗の様子に新一の不安は増大する。
「…何でだ?」
「お昼食べに行く約束したでしょ?」
「…………は?」
ちょっと待て俺はそんな約束した覚えは…。
新一がみなまで言う前に、快斗の手の中でカチッという音がする。
『新一?』
『ん』
『お昼外に食べに行こうか』
『ああ』
『行く店俺が決めても良い?』
『ん』
「ね?」
「てめえ何時の間にこんな物を…」
「ひ・み・つVv」
「………で?」
\ 「へ?」
新一から返ってきた予想外の反応に、快斗は思わず間の抜けた返事を返してしまった。
「何処に食いに行くんだよ?」
「い、いいの!?」
絶対「こんなの証拠になるか!」とか言って蹴られると思ってたのに…。
「別にいいよ…」
たまにはいいだろ、たまには…。
(これぐらいで済んで良かった…)
心の中で新一がそう思っている事など露知らず、快斗はスキップでもしそうな勢いで喜んでいる。
「じゃあ、早速お出かけしましょうか♪」
語尾に音譜マーク付きで言われ新一は苦笑する。
(まあ、たまにはいいか。最近構ってやってなかったし…。)
しかし、その甘さが命とリだという事をこの時点で新一は理解してはいなかった…。
「で、何でまたここなんだよ…」
「またまた〜♪ 新一君てば解ってるくせに〜♪」
そう、そこは前回来た近所のファミレス。(詳しくは『食後のお楽しみ♪』を参照)
「で…てめえはまたあれを食う気か?」
「違うってば! 俺はそんなにワンパターンな人間じゃありません♪」
そう言って、前回同様嬉々として店内に入って行く快斗の後を仕方なく新一もついて行く。
中に入ると店員に案内され、窓際の角の席へと座る。
「…で、お前何にするんだよ」
「あ、俺はもう決まってるから新一メニュー見ていいよ♪」
すっと、メニューを差し出され新一はそれとにらめっこする。
本来、新一は食欲が旺盛な方ではない。
出されたものは食べるが、自分から物を進んで食べる方ではないのでこういう時は結構困ってしまうのだ。
「…これにする」
「新一それこないだと一緒じゃん…ι」
「他に食べたいものが無い」
「まあ、しょうがないか」
そんな新一の性格を知っているから、快斗も強くは言わない。
どうやら、栄養バランスは夕食で補うつもりらしい(笑)
「すいませ〜ん♪」
前回同様、音譜マーク付きで店員を呼べばやはり女の子のウエイトレスが真っ赤な顔をしながらやってくる。
(大体何でこんなにこいつは愛想がいいんだ…)
そんな快斗の様子を見ながら新一は一人密かに不機嫌になる。
それが焼きもちと呼ばれる部類の感情である事を、このこと恋愛ごとに疎い名探偵が自覚しているはずも無いのだが…。
「えっと…キノコのパスタとアイスコーヒーと煮込みハンバーグセットと海老ドリア」
「セットのお飲み物は何に致しますか?」
「えっと…オレンジジュースで」
「お飲み物は何時お持ちしましょうか?」
「あ、先にお願いします」
「かしこまりました」
「あ、後この『ジャンボモンブラン抹茶フラッペ』一つお願いします」
その注文に彼女の顔がかなり攣ったのは新一の見間違いでは無い筈だ(爆)
「……か、かしこまりました。以上でご注文は宜しいでしょうか?」
それでも、なんとか注文を取り終えるところは流石あちらもプロと言ったところだろうか…。
「はい」
「それではご注文を繰り返させて頂きます。……(長いのでやっぱり以下略・爆)以上で宜しいですか?」
「はい」
「それではメニューの方お下げしますね」
「あ、お願いします」
メニューを持って、顔を赤くしながら足早に戻って行くウエイトレスを見送って新一の方を向いた快斗は前回同様かなりご機嫌だった。
「お前こそ最後の以外頼んだのこないだと同じじゃねえか」
「ここの煮込みハンバーグ好きなの♪」
「それにしても…『ジャンボモンブラン抹茶フラッペ』って何だよ…」
そう言って新一は少し身体を震わす。
店内の冷房の温度が低過ぎるのか少し肌寒いぐらいなのだ。
それなのに目の前のこいつは『フラッペ』なんていう物を食おうというのか…。
「だってこれ期間限定なんだよ!!あと1週間で終っちゃうの!!」
だから食べに来たかったんだよね〜♪と嬉しそうに語る快斗に新一は溜め息をついた。
(ほんとこいつ甘いもの好きだよな…)
前回のあれといい…今回のこれといい…。
まったくどうしてこうも甘いものが好きなのか…。
「新一…呆れてるね?」
「当たり前だ」
「だって〜ここしかないんだよ。『ジャンボモンブラン抹茶フラッペ』やってるのって〜」
そう、まるで小学生の子供の様に語る快斗に新一はもう溜め息すら出て来ないほど呆れていた。
(こいつが俺と同じ歳なんて俺は認めない…。)
そう新一が心の中で思っている間に、ウエイトレスがコーヒーとオレンジジュースを持ってやってくる。
そのコーヒーに不味いのは解っていながらも何も言わず口をつけたのは、会話だけで口の中に嫌な甘さが広がったような錯覚さえしてしまったからだ。
「新一今日は文句言わないの?」
こないだは「まずい」って言いながら飲んでたのに。
「言う気も失せた」
「何で?」
「自分で考えろ…」
さっぱり解っていない快斗を放っておいて、新一はコーヒーを飲みつづける。
その間に別のウエイトレスが料理を運んできた。
「じゃあ、いっただきま〜す♪」
「いただきます…」
にこやかな快斗とは対照的に、少々嫌そうに料理に口をつける新一に快斗から直ぐに駄目出しが入る。
「新一!ご飯は楽しく食べなきゃ駄目!!」
「誰のせいだと思ってんだよ!!」
その声に、周りの客が一斉にこっちを向いたのを感じて途端に新一は静かになる。
ちなみに、周りの方々はその前からこのカッコイイ二人組みを目の保養として鑑賞していたのは言わずもがな(やっぱり気付いたのは俺だけだけどね。by快斗)
「ったく…」
注目を浴びたのはお前のせいだ、と新一は愚痴愚痴文句を零しながらもパスタを口に運んでいく。
その姿すら快斗に言わせると…。
(可愛い〜Vv)
になるのだから、バカップル万歳である(爆)
とにもかくにも、快斗はさっさと食べ終わり後は本日のメインディッシュを待つのみ。
片や新一の方はというと…。
「もういい…」
「新一…、全然減ってないじゃん」
見れば新一の皿にはパスタが三分のニほど残っている。
「もういい…」
「しょうがないか」
彼が小食なのは解っているから。
無理に食べさせるのも良くないし。
「じゃあ、夕食は新一の好きな物作ろうね♪」
そしたら食べてくれるでしょ?
「刺身だな…」
「し、新一〜」
途端に泣きそうな顔と声になった快斗に再び周りの客の視線が集まる。
それを感じ取った新一は急いで、自分のパスタの皿を快斗に差し出す。
「わ、解った。これ食ったら許してやるから!」
「本当?」
「ああ」
「じゃあ食べる♪」
名探偵、見事に快斗を泣き止ませるのと残りを押し付けるのに成功(笑)
流石は工藤新一である。
…数分後。
「ごちそうさま♪」
すっかり空になった皿が一枚テーブルに追加された。
「お前ほんとよく食う…」
どうやらそれ以上は前回同様墓穴を掘ることになるので、言うのはやめたらしい(爆)
丁度その時…、
「お待たせ致しました。じゃ…ジャ…ジャンボモンブラン抹茶フラッペです…」
ウエイトレスの困惑気味の表情に思わず同情してしまいたくなる新一だった。
「あ、それ俺ね〜♪」
それを気にもせず、満面の笑みで快斗はそう言うと目の前に置かれた物体にすっかりご満悦になる。
「ん〜やっぱここのはおっきいよね〜♪」
「…………それ全部食う気か?」
「もっちろん♪」
「…………」
新一が無言になってしまうのも無理は無い。
快斗の前に置かれた『ジャンボモンブラン抹茶フラッペ』とは…
高さ25cm程に堆く積まれた氷の上に抹茶シロップがこれでもか、とばかりにかけてありその上にさらにマロンクリームがやはりこれでもかという程絞ってある代物だったのだ。
しかもご丁寧に、モンブランというぐらいあって栗を半分に切ってシロップ付けにした物が数多く乗っており、極めつけに一番上にはバニラアイスが一個綺麗な丸い形で乗せられていた。
「………見てるだけで寒いな…」
その物体に新一は身体を震わす。
「そう? おいしそうじゃん♪」
あ、これトンネル掘れそう♪
楽しげにフラッペにトンネルを掘り出す快斗を見て…
(こいつは幼稚園児だ………)
と新一が思ってしまったのも仕方の無い事実であろう(爆)
「ん〜やっぱり夏はフラッペだよね〜♪」
美味しそうに抹茶フラッペを頬張る快斗に新一はげんなりとする。
「もう9月なんだが…」
「じゃあ、家のクーラー止めても平気?」
「それは…」
「ね? ほらまだ夏でしょ?」
どうやらこの手のことは快斗の方に軍配があるらしい(笑)
「新一も一口どう?」
抹茶シロップだし、マロンクリーム掛かってない部分なら食べられるでしょ?
そう言って丁度一口分をよそったスプーンを差し出される。
「……まあ、一口ぐらいなら…」
そう言って、差し出されるままに口に含んだ(ちなみに快斗は心の中で「新一あ〜んvv」とか言ってたりする。・爆)
「どう?」
「あ、結構美味いかも」
「でしょ?」
新一の同意も得られてなおさらご満悦の快斗だったが、
「でも一口で充分だな」
「し、新一…ι」
やっぱり落とされることに変わりは無いらしい(爆)
15分後…。
「ごちそうさま♪………っ…」
「ん?」
『ジャンボモンブラン抹茶フラッペ』を先程までご満悦の表情で食べていた快斗が、食べ終わると同時ぐらいに少々顔を顰めた。
「どうかしたのか?」
「………頭痛い…ι」
「……………馬鹿だろお前」
一人で見事ジャンボモンブラン抹茶フラッペを完食した快斗はどうやら頭にキーンときているらしかった(笑)
「ほら、帰るぞ」
「し、新一〜(泣)」
すたすたと先を行く新一と、少々涙目になりつつ追いかける快斗の姿にすら周りからは感嘆の溜め息が漏れていたとかいないとか。
何はともあれ、次の快斗の食後のお楽しみに新一が今度は何時付き合ってくれるか…。
それは当分先の話になりそうである…。
END.
食いました『モンブラン抹茶フラッペ』(笑)
ネタの為に(笑)←またかよ!
しっかし、『コージ○コーナー』の『モンブラン抹茶フラッペ』はマジででかいです(爆)
素敵に「お二人でどうぞ♪」って書いてありましたから(笑)
で、母とチャレンジするも三分のニであえなくリタイア(爆)
機会があったら食べてみてくださいな☆
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